「マイクロツーリズム」や「自治体キャンペーン」に期待
観光庁が2020年5月29日に発表した「宿泊旅行統計調査」によると、2020年4月(第1次速報値)の日本人延べ宿泊者数は前年同月比71.1%減の1,053万人泊、客室稼働率は全体で16.6%となった。また帝国データバンクの「全国企業倒産集計 2020年5月報」(6月8日発表)によると、全体の倒産件数が減少するなか、宿泊業は前年同月比140.0%増の12 件となるなど、新型コロナウイルスの影響で予約キャンセルが相次いだ宿泊・観光業界は厳しい状況に置かれている。
そのようななか、地元を旅する「マイクロツーリズム」が注目をあびている。「マイクロツーリズム」とは全国に宿泊施設を展開する星野リゾートが提唱する、自宅から1時間で行ける範囲に目を向ける旅の形。同社はその特徴として、<1.Withコロナ期の旅行ニーズ=小さな旅行、2.感染拡大防止と地域経済を両立する観光、3.地域から学び「地域再発見」を提供>の3つを挙げている。
また感染拡大を抑えながら観光需要を後押しする自治体も相次いでいる。住民が近場の旅館やホテルに泊まる際、費用を補助するのが代表的な事業である。例えば、大阪府と大阪市は、関西2府4県(大阪府・京都府・滋賀県・兵庫県・奈良県・和歌山県)在住の方限定で、大阪府内の宿泊施設を利用した際、1人1泊当たり2,500円分のポイントを還元し、そのポイントは飲食や買い物に使えるという「大阪の人・関西の人いらっしゃい!」キャンペーンを実施する。他にも、秋田県では県内在住の方に対し、2,500円で5,000円分の宿泊券を販売する。県民1人で5枚まで購入可能、宿泊券を使えるのは県内325施設にも上る。
このようなキャンペーンを39道府県の自治体が実施するそうで、自分が利用可能なものを探すのも楽しいのではないだろうか。
一方で、移動による感染拡大への懸念は、移動する側も受け入れる側も、少なからず抱えているのが現実かもしれない。だからこそ、「新しい旅のエチケット」を守る、一人一人の心がけがさらに重要になってくるだろう。例年とは違う「マイクロツーリズム」という旅の形に、夏到来への期待も高まる。