在宅勤務からみえる新しい労働者像とは

新型コロナウイルス感染症の影響からテレワークなどの在宅勤務を導入している企業もあるだろう。私も実際に体験し、我々労働者にとってメリットがとても多いことに気がついた。そこで在宅勤務のメリットについて考えてみたい。


在宅勤務が始まって最初に実感したのは都市圏における通勤ラッシュの緩和だ。人の移動が減少することで、鉄道の駅構内や車両内の混雑は緩和され、ゆとりある空間が確保できていた。さらに、自動車の利用も減少したため、道路渋滞も抑制されている。通勤ラッシュの緩和は、労働者の身体的負担の軽減だけでなく、読書・勉強といった自由時間の創出にも繋がっている。また、通勤時間がなくなることで男性の家事分担の増加や、家族との団らん時間の増加が挙げられる。内閣府の「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(2020年6月21日)では、在宅勤務などにより夫の働き方が変化した家庭において、家事・育児での夫の役割が増加し、家族と過ごす時間も増加する傾向を示していた。


仕事以外の時間が充実することで、仕事に対する集中力を高く維持でき、業務効率や生産性の向上にもつながる。


さらに、子育て世代では、親が自宅にいることで子供の預け先が保育園のみの選択から幼稚園への入園といった選択の幅を広げることも可能になるだろう。保育園激戦区の緩和などで極端な保活といった不安や悩みも軽減するのではないかと思う。


帝国データバンクが公表した「働き方改革に対する企業の意識調査(2019年12月)」によると、現在取り組んでいる項目のなかで、「サテライトオフィスやテレワークの導入」は7.8%と低水準であった。しかし、「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年5月)」では、新型コロナウイルス感染症により経済活動が制限されるなか、「テレワーク設備などIT投資の推進」と回答している企業が36.6%となった。単純な比較はできないものの、新型コロナウイルスという大きな危機に瀕したこの半年間で企業の意識にも大幅な変化がみられている。


労働者にとって在宅勤務は、生活で負担となっていた事項が解消し、享受するメリットが多い。その半面、デメリットもあるが、今まで当たり前のように通勤し出社していたことから、新しい可能性に触れたことは次世代の仕事の仕方に大きな変化をもたらすと思う。

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