「Go To トラベル」を利用してみて感じたこと
観光庁は「Go To トラベル」事業に登録する事業者に対し、新型コロナウイルスへの対策を徹底するよう求めている。滞在中、2つのホテルを利用したが、どちらのホテルでもチェックインの際、体温の測定があった。また、ホテルの入り口にはアルコール消毒液が設置され、手を消毒してから入館するように促す掲示がなされていた。館内のエレベーターにはそれぞれの隅に足跡のシールが壁に向けて貼られているなど、新型コロナウイルスへの対応が徹底されていた。
各地方運輸局などは、8月6日・7日に計54の宿泊施設に出向き、Go To トラベルの参加条件となっている感染拡大防止策の実施状況を調査した[1]。大半の施設で旅行者への検温の実施や3密への対策が実施されており、「エレベーターにおいてボタンに触れなくていいように、使い捨ての綿棒を用意し、綿棒でボタンを押していただいている」「大浴場の入浴人数を各部屋のテレビでリアルタイムに把握できるようにし、混雑状況を確認した上で入浴いただくことにしている」など、各ホテルでの感染拡大防止へ向けた取り組み事例があげられている。
TDB景気動向調査において「旅館・ホテル」の7月の景気DIは5.1と、3月以降5カ月連続で1桁台の低水準が継続している。7月22日から「Go To トラベル」が開始されたものの、「旅館・ホテル」の客室稼働率を表していると考えられる設備稼働率DIは5.3、売り上げDI(対前年同月)は6.3となり、景気DIと同様に5カ月連続で1桁台となっている。また、販売単価DI(対前年同月)は、調査開始以降で最低水準となった5月の18.8から、6月(30.7、前月比11.9ポイント増)、7月(35.2、同4.5ポイント増)と上昇傾向がみられるものの、依然として判断の目安となる50を大きく下回っている。そうしたなか、2020年の上半期の旅館・ホテル・簡易宿所の倒産件数[2]は80件となり、2019年の通年での件数(72件)をすでに上回るペースで推移している。
このように宿泊業は厳しい状況が続くとみられるなか、各宿泊施設で新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、工夫を凝らした取り組みが率先して進められているように思う。観光庁は「Go To トラベル」の事業期間を、2021年1月を目安に予算の執行状況を見て改めて公表するとしている[3]。今後、国内旅行の需要を回復させていくためには、旅行代金の割引や地域共通クーポンの実施だけでなく、感染拡大防止へ向けた各施設における取り組みを支援する施策が、より一層求められるだろう。
祖父の49日で、9月に再度京都に帰ることを予定しているが、個人としても感染拡大を防止するため万全の対策をとりたい。
[1] 観光庁「Go To トラベル事業参加の宿泊施設における感染拡大防止策の実施状況の調査結果について」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/topics08_000158.html
[2] 帝国データバンク「特別企画:旅館・ホテル・簡易宿所の倒産動向調査(2020年上半期)」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200710.pdf
[3] 観光庁「Go To トラベル事業Q&A集(8月25日時点)」P.4、Q16
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001356313.pdf