「非対面」「非接触」による変化
新型コロナによる「新しい生活様式」のなかで拡大した「非対面」「非接触」。「ピークアウトの傾向はみられない」なかで、今後も私たちの生活は変化し続けるのだろうか。
JR東日本は2020年9月3日、2021年春をめどに各路線の終電時刻を30分繰り上げると発表した。新型コロナの感染拡大で深夜時間帯の乗客減少を理由として挙げていた。ひとりひとりの意識の高まりから「接触」の機会が減っていることの表れであろうか。
同日、京都府京丹後市が、市民の相談窓口に「LINE WORKS」を導入したと発表。これにより市内在住者は、LINEを通じた「非対面」「非接触」での相談が可能になる。さらに、一度目の相談終了後に再相談を受け付ける際、別の相談員が対応する場合でも、LINE WORKS上に保存されているトークログで前回までのやり取りを確認できるため、引き継ぎなどの時間を短縮できるとした。「非対面」「非接触」から生まれた「効率化」である。
ウェビナー(Web:ウェブとSeminar:セミナーを合わせた造語)も同様だろう。例えば会場やコスト、参加者の地理的制約から100名が限界だったセミナーが、ウェビナーに移行し300人や500人の参加が可能になる。参加する側も移動時間が削減できる。「非対面」「非接触」のウェビナーで、営業チャンスや学ぶ機会は断然と広がった。
内閣府の「新型コロナウイルス感染症の環境下における生活意識と行動変化に関する調査結果」(2020年6月21日発表)によると、全国のテレワーク実施率は34.6%、東京23区では55.5%だった。通勤時間が減少した人のうち、今後も減少した通勤時間を保ちたいと回答した人が7割にも達した。またテレワーク経験者では「仕事よりも生活を重視するように変化した」とする割合が64.2%となり、3人に2人が生活重視へ変化していた。
新型コロナのなか、「非対面」「非接触」をキーワードとした変化は、企業や自治体だけでなく、労働者の意識をも変化させている。この流れは、人手不足を背景に効率化が求められるなか、新型コロナの収束後も続くと予想されている。おりしも、日本では、安倍首相が辞意を表明したことで、次期首相を決める総裁選挙が行われることとなり、慌ただしい変化の秋が始まろうとしている。