流行語から景気動向を把握する

12月1日、ユーキャン(東京都新宿区)がスポンサーとなり自由國民社(東京都豊島区)が毎年発表している、『「現代用語の基礎知識」選2020ユーキャン新語・流行語大賞』のトップテンが発表された。


新型コロナウイルスの影響が依然として続いているなか、感染予防のための概念である「3密」が年間大賞に選ばれた。トップテンには、大ヒットした任天堂Switchのゲーム「あつ森(あつまれ どうぶつの森)」や、Netflixなどの定額制動画配信サービスで人気となった韓流ドラマ「愛の不時着」といった、新型コロナウイルスに起因して拡大がみられる巣ごもり需要に関連した言葉がランクインしている。また、Zoomなどのビデオ会議アプリを利用したオンライン会議やオンライン診療、オンライン飲み会などをまとめた「オンライン○○」もトップテン入り。流行語大賞「3密」の受賞者となった小池百合子・東京都知事も、表彰式に「オンライン」でリモート出席した。


また、「巣ごもり需要」関連の単語だけでなく、「3密」を回避できる屋外レジャーとして一人でキャンプを楽しむ「ソロキャンプ」や、映画が大ヒットしている「鬼滅の刃」もトップ10にランクインした。TDB景気動向調査(2020年11月)の企業の声でも、「9月よりキャンピングカー需要が急に増えた」(中古自動車販売)や「鬼滅の刃の効果」(がん具・娯楽用品卸売)といった声が寄せられている。


図:TDB景気動向調査(2020年11月)の企業の声から作成したワードクラウド図

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流行語大賞にノミネートされた単語は日本全体での「流行語」であるが、企業における「流行語」はあるのだろうか?上の図は、11月調査に寄せられたコメントから、出現頻度の高い語句が大きく図示されるように作成したワードクラウド図である。これを見ると「新型」「コロナ」「ウイルス」といった言葉が大きく図示されている。依然として新型コロナウイルスを景況感の理由にあげる企業が多いことがわかる。「回復」や「好調」といったポジティブな単語がみられる一方で、「減少」「低迷」「不透明」などのネガティブな単語も頻出している。


最近では、このようなテキスト文章などの定性情報を分析する、テキストマイニングの手法が一般に浸透してきている。これまで定量的にみることが難しかった定性情報を可視化し、世の中の「流行り」を素早く掴むことで、景気の実態をより迅速に把握することができるだろう。

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