米国史上初の女性副大統領が誕生、多様性の社会へ
ハリス氏が2020年11月3日の大統領選挙後に行った講演の中で、次のように演説した。
「女性たちは闘い、多くのことを犠牲にしました。すべての人々に平等、自由、正義をもたらそうとしたためにです。黒人女性たちはあまりにも見過ごされてきました。(中略)すべての女性たちは投票する権利を守るために1世紀以上に及ぶ努力を傾けてきました。(中略)今夜、私は彼女たちの苦しみの闘いを思い起こします。」
(東京新聞TOKYO Web「初の女性副大統領へ「私が最後ではない」カマラ・ハリス氏の演説全文 完訳<アメリカ大統領選>」2020年11月11日より引用)
アメリカで投票時の人種差別を禁じた「投票権法」が、公民権運動の高まりを背景に成立したのは1965年。ほんの55年前の出来事だ。背景となる公民権運動のきっかけとなったのは、有名なモンゴメリー・バス・ボイコット事件。それは、一人の黒人女性ローザー・パークスの勇気ある行動が発端であった。分断や差別が社会問題と言われるアメリカで、差別と闘ってきた人たちの苦しみを知る女性副大統領の誕生は、新しい歴史のスタートになるだろうと、彼女のスピーチに明るい未来を感じた。
一方、世界経済フォーラム(World Economic Forum)が公表した「世界ジェンダー・ギャップ報告書2020」のなかで、各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数が発表された。この指数は、経済、政治、教育、健康の4つの分野から作成され、男女格差が小さい国ほど数値が「1」に近くなる。日本の総合順位は153カ国中121位(スコア:0.652)となり、特に男女格差で遅れが目立ったのは政治分野で、順位は144位(同:0.049)と低位だった。
また、2020年6月30日に公開されたSDGsの達成度・進捗状況に関する国際レポート「Sustainable Development Report 2020」(持続可能な開発レポート)では、「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」において、日本は「主要な課題が残っている」と評価されており、取り組みの強化が必要な目標の1つとして位置づけられていた。
史上初となるアメリカの女性副大統領の誕生が、日本をはじめ世界において、さらなる女性活躍のきっかけになることを期待したい。また、社会全体として多様性が求められるなか、2021年も企業の果たす役割は益々大きくなるだろう。