ワクチン接種へいよいよ動き始める
政府は2021年1月22日、首相官邸の公式サイトに新型コロナウイルスのワクチン情報をまとめた特設ページを、またTwitterにも公式アカウントを開設。新型コロナウイルスのワクチン接種推進大臣に河野太郎行政・規制改革担当相が着任し、できる限り2020年2月下旬までには医療従事者から接種を開始できるよう準備を進めると発表。いよいよ日本でもワクチン接種への道筋が見え始めたことは、収束への明るい希望である。
OECD(経済協力開発機構)は2020年12月1日に世界経済見通しを発表した。その中で、ワクチンの普及が条件としながらも、世界経済成長率(実質GDP伸び率)は2020年がマイナス4.2%なのに対し、2021年はプラス4.2%と予測。世界の経済規模は、中国の成長回復がけん引する形で「2021年末までにパンデミック前の水準に戻る」とする見通しを示し、「パンデミック発生以来、初めて明るい未来に向けた希望がある」とした。加えて日本のGDPは2020年のマイナス5.3%から、2021年は、輸出が戻りつつあるほか、東京五輪が無事に開催されれば消費を押し上げるため、プラス2.3%の成長率になると予測した。
今後の世界経済を上振れさせる重要なカギはワクチンであろう。
そのような中、ワクチン接種などによる新型コロナウイルスの感染拡大が抑えられる「集団免疫」を達成するには、人口の6~7割が免疫を獲得する必要があるとされており、世界各国ではワクチン接種の動きを加速させている。新型コロナの感染者数が世界最多のアメリカでは、2021年1月20日にバイデン新大統領が誕生。就任から一夜明けた21日には、国家戦略としての新型コロナウイルス対策を発表。ワクチンの優先接種の対象を広げ、接種できる施設を増やすなどして政権発足から100日で1億回分の接種を目指すとした。
一方、国内では、厚生労働省が「予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、受ける方の同意なく、接種が行われることはない」とし、ワクチン接種は強制でないとしている。そのため、企業においては、新型コロナ対策の新たな課題として、社員のワクチン接種に取り組むことが求められるだろうか。ワクチン接種というかつてない大事業が成功するように、社会の一員として祈る1月でもあった。