より良い「習慣化」を目指すために

禁煙を初めてそろそろ2年が経過しようとしている。私は元々、手巻き煙草を自分で巻いて吸っていたほどの愛煙家であり、ヘビースモーカーだった。昨今の禁煙ブームもあり、いつかは禁煙しようと検討していたが、なかなか踏み切れず禁煙を先延ばしにしていた。2年前に現在の会社への転職が決まり、それを機にして試しに禁煙してみることにした。


実際に禁煙してみると、やはり食後や、飲酒時に煙草を吸いたくなる衝動に駆られたが、禁煙外来の効果もあり、半年ほど経過すると喫煙したいという衝動が自然と消えていった。しかし、怖いもので就寝中に見る夢の中では、2年が経過しようとしている現在でも、自分が煙草を吸っている光景を頻繁に目にしてしまう。私にとって喫煙という行動が、夢に出てくるぐらい「習慣化」していたということであろう。


喫煙の「脱」習慣化が定着したこととは対照的に、新しく習慣化したこともある。食後の喫煙衝動を抑えるために、「とりあえず食後はすぐに歯を磨く」(食後すぐに歯を磨くのはあまり推奨されないようであるが)や「煙草を吸いたくなったら短時間でも散歩や筋トレなどの運動をする」といった対策を実行した。こうした新しい習慣は定着するまでは億劫であったが、何度も実行しているうちに習慣化されていった。


現在では、歯を磨く時間も長くなり、毎回フロスや歯間ブラシを使わないと気分が悪くなる。ベンチプレスといった筋トレも、開始した当初は20キロのバーベルすらまともに扱えなかったが、扱える重量が徐々に増えていくにつれて、なぜか楽しくなってきている。


ある行動が習慣化できるかは、脳の仕組みと密接に関わっているようだ。『小さな習慣』(著:スティーブン・ガイズ)によると、「脳は行動に関する決定をする部分と、自動化された行動のためのパターン認識をおこなうふたつの部分からなる」[1]としている。行動に関する決定をする部分は前頭前野、自動化された行動のためのパターン認識をおこなう部分は大脳基底核と呼ばれる。したがって行動を習慣化するためには、その行動が繰り返し実行されるよう大脳基底核に覚えさせる必要がある。そこで、上述の本では簡単に実行できる「小さな習慣」を繰り返すことを推奨している。


新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごす時間が多くなっている今だからこそ、「塵も積もれば山となる」とのことわざにもあるように、毎日簡単に実行できる良い「習慣」を積み上げていきたいと思う。



[1] スティーブン・ガイズ、『小さな習慣』(Japanese Edition)(Kindle の位置No.615-616)、Kindle版

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