日経平均株価が30年半ぶり3万円台も、新型コロナからの回復は?
日本マクドナルドホールディングスは、来店前にスマホアプリで注文から決済が完結できる「モバイルオーダー」を導入、テイクアウトやドライブスルーの売上が好調で、2020年12月期の全店売上高は5,892億円、創業以来の過去最高となった。自転車部品大手であるシマノは、密を避ける自転車への需要が高まり、2020年12月期の当期純利益は前期比22.5%の大幅増加、来期も増加傾向は継続すると予想した。一方、KNT-CTホールディングスは新型コロナウイルスの感染拡大により多数の予約キャンセルが発生、2021年3月期第3四半期の売上高は前年同期比81.1%の大幅減少、早期希望退職者の募集結果にともなう特別損失を60億円計上するなど、2021年3月通期の業績予想を下方修正した。新型コロナウイルスの感染拡大により急激に変化した生活環境のなか、企業の明暗は大きく分かれる結果となった。
そのようななか、2021年2月15日の東京株式市場の日経平均株価終値が3万84円となり、1990年8月以来の30年6カ月ぶりに3万円台を記録。約1年前(2020年3月18日)、およそ3年4カ月ぶりに1万7千円を割ってからの回復となった。2021年2月22日15時点でも3万円台で推移しており、バブル崩壊時の30年半前とは「逆局面」での3万円台である。
2021年1月29日に発表された総務省の労働力調査によると、2020年平均の完全失業率は2.8%となり、リーマン・ショックの翌年である2009年以来11年ぶりの増加になった。年齢階級(10歳階級)別にみると、15~24歳での完全失業率が4.6%と最も高く、25~34歳の3.9%が続き、とりわけ若年層での割合の高さが際立っていた。同調査での求職理由別完全失業者を月別でみると、2020年12月の完全失業者数194万人のうち「勤め先や事業の都合による離職」は40万人で、前年同月に比べ20万人も増加している。同理由での離職は2019年1~12月では20万人前後だったが、2020年4月に30万人に増加、9月以降は40万人以上で推移している。
また、厚生労働省の生活保護の被保護者調査(2020年11月分)結果では、生活保護の申請件数は1万9,072件となり、前年同月比で3カ月連続増加するなど、新型コロナウイルスによる雇用悪化の影響が表れた形であろう。
日経平均株価が30年半ぶりに3万円台に回復したことが紙面を賑わせたが、その一方では、完全失業者数や生活保護の申請件数が増加し、実生活との乖離を感じている人は少なくないだろう。
現在、通常国会が行われているが、新型コロナウイルスで本当に困っている人を置き去りにしないための議論が交わされることを望まずにはいられない。