オンライン空間に支配される時代の到来に向けて

2021年4月に入り再び新型コロナウイルスの感染者数増加にともない、一部地域で「まん延防止等重点措置」が適用された。また地域によっては3度目の緊急事態宣言も発出されている。私自身も新しい生活様式に即した生活を約1年続けている状況だ。出歩くことが少なくなるなか、在宅時間の増加にともない時間の使い方を見直す機会になっている。


多くのビジネスパーソンにとっても、自己研鑽のため自己啓発本やビジネス書の読破、家事・育児への参加、さらに趣味の時間拡大などといった自分のため、家族のためにさまざまなことに挑戦しスキルが向上した1年だったとも言える。


そのなかでも、最も向上したスキルをあげるとすると「オンライン上でのスキル」ではないだろうか。人との直接的な接触が減少しているため、オンラインに関するスキルの向上は必要不可欠となっている。これまでオンライン上でのやり取りと言えばメールが独壇場であった。しかし、チャットやWeb会議、ウェビナーといったオンラインで人との円滑なコミュニケーションを行うツールが多種多様に登場してきており、巧みに扱う必要が出てきている。


また、普段の生活を見返すと、ECサイトを活用した商品やサービスの購入が増加している。2021年2月の家計消費状況調査におけるネットショッピングの状況についてみると、利用世帯が51.2%(前年同月比9.0ポイント増)となっていた。半数超の世帯でネットショッピングを利用しており、新型コロナウイルスの流行前よりさらに拡大していることが示唆されている。


しかしながら、実際に足を運んで、商品を目で見るという機会が減っているため、ものを「見る目」を養うことが困難になっていると思う。ネットショッピングにおいては、商品やサービスの価値を見極めるには、掲載されている情報や写真、口コミといったオンラインの情報を頼りに判断しなければいけない。そのため、オンラインでの買い物スキルも非常に重要であろう。


今後もビジネス環境にとどまらず日々の生活など、さまざまな場面でオンライン空間での接触が増加してくると予想される。オンライン空間に支配され、自分自身が埋没しないよう適切なスキルを身に着け、そのスキルを常に向上させていくことが肝要と思う。

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