TDB圏域別景気DI(2021年7月)
2カ月連続で7割超の95圏域で景況感が改善
~ 基幹産業が好調な愛知県では全圏域で全国以上の景況感 ~
~ 基幹産業が好調な愛知県では全圏域で全国以上の景況感 ~
TDB景気動向調査(2021年7月)の景気DIは、前月比1.6ポイント増の40.7となり、2カ月連続で改善した。国内景気は、東京五輪が開幕するなか、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響が地域で分かれる一方、ワクチン接種の普及などで経済活動が正常化に向けた推移となった。海外経済の回復傾向から半導体や自動車関連などを中心に輸出が急増を続け、製造業が経済全体をけん引した。本レポートでは、全国47都道府県を130の圏域に分割し圏域別の景気DIや、自動車産業がけん引し2カ月連続で改善している愛知県の3つの圏域に焦点を当て動向を捉えた。
- 「佐久・上小」の景気DIが54.2となり、130圏域中トップ
- 愛知県における3圏域の景気DI、前月比ですべて上向き、「西三河」では5ポイント近く改善
- まとめ
TDB景気動向調査(2021年7月)の景気DIは前月比1.6ポイント増の40.7となり、2カ月連続で改善となった。圏域別 にみると6月調査に続き130圏域のうち7割を超える95圏域(2021年6月は93)が改善、32圏域(同32)で悪化となった。
また、景気DIを10ポイント区切りでみると、50台以上は3圏域(同2)、40台は69圏域(同51)、30台は58圏域(同74)、20台は0圏域(同3)となった。景気DIが40台以上の圏域が前月より増加、そして20台以下の圏域もなくなったことで、全体の景況感を引き上げた。
そのようななか、長野県上田市などの「
景気DIが2カ月連続で改善となった愛知県(43.7)では、海外向けを中心に自動車産業が好調な『製造』がけん引役となり、全国で5番目の高水準となった。
圏域別みると、豊田市などの「西三河」が45.8(前月41.0、前月比4.8ポイント増)で県内最高となった(図表2)。企業からは、「この地域の自動車関連の仕事量については、忙しく感じる」(化学製品卸売、西三河)や「自動車関係は、モデルチェンジ等により好調」(段ボール箱製造、西三河)、「大手自動車メーカーの生産台数が回復している」(一般管工事、西三河)というように好調な自動車産業に関する声が多数あがっていた。
次いで、名古屋市などの「尾張」が43.3(同40.5、同2.8ポイント増)、豊橋市などの「東三河」が43.0(同39.4、同3.6ポイント増)であった。前月より三河地区で大きく改善し、すべての圏域で全国平均を上回っている。
さらに「一軒家志向の消費動向への変化があり、注文住宅系の受注は悪くない」(木造建築工事、尾張)や「中途採用並びに新卒採用において活動スピードが速く感じる。特に中途採用においては自動車産業の回復により人材がなかなか出てこない印象」(労働者派遣、尾張)といった声があがっている。愛知県内において基幹産業である『製造』がけん引するだけでなく、『建設』や『サービス』など幅広く明るい声が聞かれ、県内の景況感を引き上げる要因となっていた。
本レポートでは、2021年7月のTDB景気動向調査を用いて、全国を130圏域に分割して圏域別の景気DIを算出し、特徴を捉えた。
2021年7月の圏域別の景気DIは、2カ月連続で7割を超える圏域で前月より改善となった。とりわけ、「佐久・上小」や「諏訪・上伊那・飯伊」、「県南・天草」で50超となったほか、40台の圏域も多くなってきた。
また、愛知県の3圏域をみると、自動車産業などを中心に好況となっている「西三河」を筆頭に、すべての圏域で全国平均を上回っていた。基幹産業だけでなく幅広い業種に波及し県全体の景況感を引き上げている。
しかし、2021年8月になると変異株などによる全国的な新規感染者数の急増は企業活動を行ううえで、懸念事項となっている。さらに、広範囲にわたる豪雨や土砂災害による企業活動の停滞も予想される。そのようななか企業が企業活動を行ううえでは、都道府県における各圏域の景気動向を注視することは重要となろう。