自動車の生産減少、年内に落ち着くも2022年上半期まで微減状態続く可能性

最近、自動車の生産が減っているといったニュースをよく耳にするようになってきました。


トヨタは2021年度の生産台数を30万台、日産は25万台減らす見込みなど多くのメーカーが生産を減らしています。


こうしたなかで、自動車メーカーや部品メーカーの景気は2021年8月より2カ月連続で大きく悪化しました。10月においては国内全体の景気は上向きましたが、自動車部品メーカー等の景気はわずかな改善にとどまっています[1]。

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長引いている自動車メーカーの生産の減少を引き起こした原因は一体どのようなことなのでしょうか?またこの事態はいつまで続くのでしょうか?


まず1つ目の原因は「東南アジアで新型コロナウイルスの感染拡大の影響により自動車部品の調達が難しくなっていたこと」です。自動車部品工場が多い東南アジアでは2021年6~7月頃から感染が急拡大し始めていました。感染防止のため多くの工場が閉鎖され、日本向けの部品の発送ができなくなりました。


しかし、2021年8月後半より東南アジアでの新規感染者数は減少傾向に転じており、10月における製造業の景気は5カ月ぶりに上向きました[2]。こうした状況を踏まえると、東南アジアからの自動車部品調達の困難は近く解消するものと考えられます。


自動車の生産の減少を引き起こした2つ目の原因は「世界的に半導体が不足していること」です。自動車やパソコン、家電などで使われる重要な部品である半導体は、在宅ワークの普及などによるパソコンや家電の需要の急拡大が原因で供給不足となりました。半導体不足が解消する時期についてはさまざまな見方が示されていますが、概ね2022年下半期頃になると予想されています。


総じて、東南アジアからの部品調達難が解消されることで2021年のうちに自動車の生産台数の減少はやや改善するとみられます。ただ、半導体不足により、自動車の生産は少なくとも2022年上半期まで小幅ながら減少状態が続く可能性があると考えられます。


自動車の生産台数の減少により影響を受けたすべての関連業種に対する政府からの支援はもちろん、今後の備えとして自動車メーカーには、部品の仕入れ先の分散が求められます。他方、度重なる自動車生産台数の減少に加え、電気自動車(EV)への転換が加速し、一部部品が不要になりつつある今だからこそ、自動車部品関連業種は今後需要が伸びる他分野への業態転換などによりピンチをチャンスに変えるときかもしれません。



[1] 帝国データバンク、『景気動向調査2021年10月』
[2] IHS Markit, ASEAN Manufacturing PMI(2 November 2021)

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