日本のデジタル競争力、28位と過去最低。2つの大きな問題点とは?
スイスの有力ビジネススクールIMDが2021年9月に発表した『2021年世界デジタル競争力ランキング』で日本の順位は64カ国中28位で、過去最低を更新しました。G7のなかでは下から2番目、アジア・太平洋地域では14カ国中で9位と前年と同水準でした。
同ランキングは、デジタルトランスフォーメーション(DX)に対する準備などを含め経済的および社会的変革に向け、各国政府や企業はどの程度デジタル技術を利活用できているかを示したもので、52の指標を測定して評価を行っています。なかでも、『デジタル技術スキル』(62位)や『企業の機敏性』(64位)などは日本の最大の弱みとされている一方、『モバイルブロードバンド利用者数』(2位)や『世界におけるロボットの流通』(2位)などは上位となっています。総じて、日本は良い技術基盤を持っているにも関わらず、それを活かす"デジタル人材"が少ないことや、デジタル化の動きなどビジネス環境変化への"企業の対応力"に問題があると言えます。
実際、国内企業のデジタル化への取り組みはどの程度進んでいるのでしょうか?
帝国データバンクが実施した調査[1]によると、デジタル化などDX推進に向けた取り組みを実施している企業は81.8%となっています。取り組んでいる企業の具体的な取り組み内容をみると、「オンライン会議設備の導入」が61.9%でトップとなりました。次いでペーパーレス化(60.6%)、アナログ・物理データのデジタルデータ化(46.0%)が続き、業務環境のオンライン化や書類のデジタルデータ化など、DX実現の初期段階の取り組みが上位を占めました。
しかしながら、上述の世界ランキングでは下から3番目だった『デジタル技術スキル』の向上を促す「デジタル人材の育成」と「デジタル人材の採用」について、実施している企業はそれぞれ11.2%、7.0%と低位にとどまっています。
このようななか、政府は企業の人材育成支援策などを実施し、2022年度より5年間でデジタル人材を230万人育成するといった目標を掲げており、デジタル人材不足の解消への期待が膨らんでいます。企業はこういった政府の支援策を活用するとともに、経営層からデジタル化の本質を理解したうえで全社員のマインドチェンジを図っていき、実行に移すことが求められています。
[1] 帝国データバンク「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に関する企業の動向アンケート」(2021年12月8日発表)