新型コロナ収束後も残る出社抑制、かつての社会環境には戻らない?!
政府は、2022年6月1日から新型コロナウイルスの水際対策を緩和しました。帰国・入国者数の上限の引き上げや感染リスクの低い国・地域からの渡航者に対する入国時検査の免除など水際対策の大転換が図られています。
また、日本国内においても屋外でのマスクの着用ルールについて議論が高まるなど、新型コロナウイルス感染症の収束を見据えた動きが各所でみられています。
そのようななか、帝国データバンクでは、新型コロナウイルスに関する社会的な状況などが落ち着き、ほぼ事態が収まってきた場合の出社率、「新型コロナウイルスの収束後の出社率[1][2]」について調べたところ、76.8%の企業で「全員出社(100%)」と回答していました。
他方、なんらかの「出社抑制」を行う企業は21.2%です。
また、過去の当コラムで取り上げた第6波最中の2022年3月の出社率[3]と比較すると、「出社抑制」は35.9%で、14.7ポイント減少となっています。しかしながら、依然として2割を超える企業で出社抑制を行う見込みがあるということは、新型コロナウイルス流行以前と比べると社会の変革が着実に起きていることがうかがえるのではないでしょうか。
新型コロナウイルスの収束後の出社率は、業種によって濃淡が表れており、「出社抑制」を行う企業の割合をみると、「情報サービス」(66.2%)、「広告関連」(44.4%)、経営コンサルタント業などを含む「専門サービス」(40.9%)などで高くなっていました。
一方で、「全員出社(100%)」とする企業は、「農・林・水産」(95.0%)、「自動車・同部品小売」(91.9%)、「医療・福祉・保健衛生」(91.2%)などで高く、「職務の内容上出勤率を低下させることができない」(養豚)といった声も多数聞こえています。
数年前まで多くの企業で、ほぼ全員出社が当たり前という社会を思い起こすと、新型コロナウイルスの流行により、働き方をはじめとする社会全体に対し大きな変革が起きたと考えられます。つまりは今後、新型コロナウイルス以前と同様な社会環境に戻ることは難しいと言えるかもしれません。
[1] 本調査は、TDB景気動向調査2022年3月調査とともに行った
[2] 出社率の定義は、全体の従業員数のうち事業所などのオフィス、店舗、工場、作業現場などへ実際に出社する割合としている
[3] 「全員出社が当たり前の社会から変化、3割超の企業で出社抑制を実施」(2022年5月2日)