進む円安。悪影響目立つが、プラスの影響と捉える企業も

2022年1月に1ドル115円前後で推移していた為替相場は、半年程度で急速に円安が進み、現在は1ドル138円前後で推移。この急速に進行した円安により、企業を取り巻く環境は大きく変化しました。原油・原材料価格の上昇に拍車がかかり、販売価格への転嫁や燃料費の節約などの対応を企業は迫られています。


特に販売価格への転嫁は顕著に表れ、多くの商品・サービスの値上げや再値上げが続いており、主要な食品メーカーの値上げは、年内には2万品目に達する見込みです。


一方で、円安がプラスに働き、来年の業績を上方修正する企業もみられています。


帝国データバンクが8月のはじめに調査した結果[1]をみますと、円安による自社への影響は、仕入れ価格上昇、燃料費や光熱費上昇など「コストの増加」が77.7%と、約8割に達していました(複数回答、以下同)。そのほか、消費者による「国内における買い控え」をあげる企業や「販売価格への転嫁が進んだ」(ともに12.0%)とする企業も1割程度存在しています。


一方、プラスの影響として、「大企業」を中心に「為替差益が発生」(5.7%)があげられていました。

【図表1 企業活動への影響(複数回答)】

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とりわけ、円安がプラスに働いていると回答している企業からは、

  • 海外金融資産の運用を業務の一環としており、評価利益の一部を実現利益として計上した(先物取引投資)
  • ドル立て債権による差益がでている(製缶板金)
  • 元々ドル建ての契約なので、為替の影響は大きく差益が出ている(技術提供)
  • 現在は、仕入れ価格が高騰していくだけだが、今後海外への販売策を推し進め円安による海外での売り上げの伸長を期待する(しょう油等製造)
などといった声もあげられています。


企業活動への悪影響ばかりが目立つ昨今の円安ですが、一部企業においては、プラスに作用していることがみえてきました。


企業によっては、厳しい状況下においても、取引先の状況をよく見極めることで新たなビジネスチャンスの発見に繋がるかもしれません。



[1]帝国データバンク「【緊急調査】円安に関する企業の影響アンケート」(2022年8月16日)

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