「WBC侍ジャパン」の経済効果は650億円に?!


3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝した野球日本代表「侍ジャパン」に贈られた優勝トロフィーが4月7日からプロ野球12球団の本拠地で展示され始めました。


今回のWBCを振り返ると、大谷翔平選手やダルビッシュ有選手のほか、各国からも多くのメジャーリーガーが参戦し、開催前からこれまでの大会を超えた大盛り上がりを見せていました。大会主催者によると、今大会の観客動員数は前回大会から約20%増加し、過去最多となっています。


日本国内でみてもさまざまな経済効果が表れていました。大会グッズの爆発的な売れ行きや試合を観戦できる飲食店などの売り上げ増はもちろん、一部の宅配ピザ店ではWBCの試合日に注文が殺到し、通常の2倍ほどの注文が入った店もあったと報道されています。ほかにも、ラーズ・ヌートバー選手が行う「ペッパーミルパフォーマンス」にちなんだ実物のペッパーミルの売り上げが急増する調理道具店もみられていました。


さらに、WBCが幕を閉じた後も、マスク着用ルールの緩和も追い風となり、全国各地のバッティングセンターが賑わっているほか、大会の記録等を収めたメモリアルフォトブックは発売前から予約が殺到していたとの報道もあります。


帝国データバンクが実施した「TDB景気動向調査[1]」によると、2023年3月の国内景気は人出の増加にともなう消費活動がけん引し、景気DIは前月比1.8ポイント増の43.9となり、4カ月ぶりに改善しました。その背景に、新型コロナの感染者数の落ち着きやマスク着用ルールの緩和、旺盛な旅行需要、卒業、歓送迎会などの季節需要のほか、WBCの開催も少なからずプラスに寄与していると考えられます。

個人消費DIの推移(2019年1月~2023年3月)

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なかでも、『小売』および「飲食店」「旅館・ホテル」「娯楽サービス」「教育サービス」を総合した景況感を表す『個人消費DI』は同4.5ポイント増と大幅に改善し、全体の景気DIを上回りました。うちWBCの開催も一部プラスの影響を及ぼしたとみられる「飲食店」(同7.4ポイント増)や食料品の宅配サービスを含む「飲食料品小売」(同2.1ポイント増)の景気DIも大きく上向きました。


企業からは、「WBC優勝における経済効果は計り知れないと考える」(代理商、仲立)といった声が聞かれたほか、「WBC優勝したので、景気が良くなって欲しい」(広告制作)という期待を込めたコメントもあがっていました。


関西大学の宮本勝浩名誉教授はWBC大会開幕前に、侍ジャパンが優勝する場合の日本国内での経済効果は約596億円にのぼると試算していましたが、大会中の大きな盛り上がり等を受け、650億円に上方修正したといいます。


今回のWBCにより、物価の高騰等で元気がない日本の経済が改善していくことを期待せずにはいられません。



[1]帝国データバンク「2023年3月の景気動向調査」(2023年4月5日発表)










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