いよいよ外出・旅行需要が本格化!旅行中、ペットたちは......

新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類へ移行したことにともない、コロナ前の人流に戻りつつあります。3年間も行動制限されてきた反動で、この夏はイベントに飲み会に旅行にと、たくさんの楽しい予定で忙しくなりそうですね。


コロナ禍、在宅時間が増えたことでブームを巻き起こしたもののひとつが、ペットの飼育です。当時の空前のペットブームは、今どうなっているのでしょうか。ペット用品やフード、ペットショップ運営など、ペットに関する産業を対象に、コロナ前の2019年から四半期ごとに景気DIを算出し、全産業の景気DIと比較してみると興味深い結果になりました。

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国内初の緊急事態宣言が発出された2020年の4月から6月にあたる「2020年第2四半期」は、企業活動が制限されたことで経済が大きくストップし、全産業の景気DIは過去最大の下落幅となりました。これは長らく安定してきたペット産業においても同様で、景気DIは前四半期比10ポイント減(2020年第1四半期:36.1→2020年第2四半期:26.1)となりました。


ここから長い長いコロナとの闘いになるわけですが、全産業の景気DIとペット産業の景気DIは違った動きをみせます。全産業の景気DIの回復は緩やかなものでしたが、ペット産業のDIは2020年の第2四半期から第3四半期で17.2ポイントも改善します。その後も30台後半から40台を維持しました。コロナ禍という不景気のなかで逆に景気が上向いた業界として、在宅時間が増えたことに関係して家具小売り業界のほか、ネット環境の整備などによる電気通信業界などが代表的ですが、ペット産業もそのうちの一つだったということが分かります。


しかし、2022年に入ってからは祭りなど各種イベントで「3年ぶりの開催」が多くみられるようになり、人々が外に出るようになったことから、ペット産業の景気DIは勢いが失速したようです。とはいえ、一般社団法人ペットフード協会がまとめた「全国犬猫飼育実態調査」によると、2022年の全国の犬・猫全体の頭数と世帯飼育率は、ほぼ前年から横ばいとなっていますので、ペットを取り巻く産業は今後も安定した推移を続けると思われます。


ペットは生活をするうえで癒しを与えてくれる大切な家族の一員ですが、いざ外出自粛が終わり、私たちが楽しく旅行へ出かけていくとき、愛するペットのお留守番問題が発生します。いい子で待っていてくれるのか、寂しい思いをさせないか、体調が急変したらどうしようか、といった心配事は尽きません(実は、彼らは自由を謳歌しているのかもしれませんが......)。


宿泊をともなう旅行となればさらに心配になるところですが、最近ではペットホテルに預けるという選択肢のほか、ペットと泊まれるホテルや、ペットの同伴が許可されている施設も多くあるため、一緒に連れて行く飼い主さんも多いことでしょう。


一般社団法人ペットフード協会の同調査によると、これまで長い間、猫に比べて犬の飼育頭数が圧倒的だったのが、2017年の歴史的な大逆転を経て、現在は猫の飼育頭数が犬を180万頭近く上回っています。猫ブームが著しく、「ネコノミクス」という言葉が生まれるほど猫による経済効果は多大なものになっていますが、先ほど記した「ペットと泊まれるホテル」や「ペット同伴OKの施設」の「ペット」は犬であることがほとんどです。これは、犬が猫より贔屓されているのではなく、それぞれの持つ性質の違いです。


猫は今では「完全室内飼い」がデフォルトで、旅行に連れて行くという選択肢はほぼありません。私も猫と暮らしていますが、1~2泊くらいの旅行なら家でお留守番をしてもらいます。「犬は人に付き、猫は家に付く」と言われるように、猫は自分のテリトリーである家が一番安心する場所で、環境の変化に弱くペットホテルなどに預けられると逆にストレスを感じてしまいます。しかも1日のうち15時間前後は寝て過ごすので、お留守番がとっても得意なのです。逆に、好奇心旺盛で孤独を嫌う犬は、飼い主のいない家でじっとお留守番をするということが苦手で、できても数時間が限界と言われているので、一緒に連れて行くかペットホテルなどに預ける必要が出てきます。


先ほどの調査では、飼育意欲があるもののペットを飼っていない人を対象に、飼育への「阻害要因」もまとめています。結果は、「旅行など長期の外出がしづらくなる」が、犬では費用面など他の理由などを抑えて1位(26.4%)となり、お留守番に心配の少ない猫でも20.2%となりました。


動物を飼うには責任感がともないますから、不在時が気になるのは当然です。ですが、最近では時間とグラム数を設定できるロボット型の自動給餌器や、フィルターが付いており常に濾過した水を出してくれる自動給水器、排泄物を自動で処理してくれるトイレなど、日ごろの飼育のしやすさに加えて不在時も安心できる便利なグッズが非常に充実しています。ペットカメラにおいては、遠隔で話しかけたりエサをあげたりできるものもあり、もはや不在時の心配は少なくなってきていると言えるでしょう。


とはいえ、旅好きな私に対してわが家の猫は、1日くらいならか細い鳴き声で切なげにすり寄ってくるのに、2日以上になると「どこ行ってたんだよ!」と言わんばかりの不機嫌な大声で鳴き続け、部屋中どこまでもついてきます。今やペットという存在は「飼う」「飼われる」という関係ではなく大切な家族ですから、ロボットによるエサやりや声掛けでは、必要なコミュニケーションはごまかせないのだなあと思います。










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