新型コロナ後の"アフター""ポスト""ウィズ"表記について
2023年5月8日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する感染症法上の位置づけが「2類相当」から「5類」へと移行しました。そのため3年あまり続いた新型コロナは、季節性インフルエンザなどと同様に扱われることに変わっています。
この間、「アフターコロナ(After-corona)」「ウィズコロナ(With-corona)」「ポストコロナ(Post-corona)」など、新型コロナ禍やその後を表現する数多くの言葉が生まれました。ここでは、当サイトで掲載している景気動向調査、特別企画調査、分析レポート、主観客観(コラム)における言葉の表記について改めて整理します。
まず「新型コロナ禍」に関して、「禍」という漢字は「(人為的な)わざわい」の意味を持ち、「災」の「(天災による)わざわい」とはニュアンスが異なります。新型コロナウイルスの世界的拡大は人為的な要素も多く見られたこともあり、新型コロナ禍は感染症の世界的流行である「パンデミック」の期間として捉えることができます。
アフターコロナに関して、アフターがビフォーと対になる言葉であることから、新型コロナ禍の発生前「ビフォーコロナ」→新型コロナ禍→新型コロナの収束後という、時間の経過を表しています。そのため、「アフターコロナ」は単に新型コロナが収束した後という時期的な意味として使われます。
ポストコロナに関しては、ポストの対となる言葉がプリであり、ある事象を境とした"~以後"のニュアンスがより強くなります。ポスト~という言葉として、例えばポストモダン(Post-modern)やポスト資本主義(Post-capitalism)などがあります。いずれも、それ以前の時代にみられた哲学や価値観、思想から次の時代へと移ることを示す言葉です。そのため、「ポストコロナ」は新型コロナ禍におけるさまざまな経験を受けて、従来の延長ではない生活様式や働き方、価値観などが変化した状況、世界観を表す意味として使われます。
ウィズコロナは、新型コロナと共に生きていく生活における価値観と捉えられます。そのため、時期に関する意味ではなく、新型コロナが身近に存在するものとして考える生活様式などを表しています。そこでは、ワクチンや治療薬などの開発により、風邪など他のコロナウイルスと同等の状況になっていると考えると良いでしょうか。
これらのことから、新型コロナ収束後の"アフターコロナ""ポストコロナ""ウィズコロナ"は、以下の意味を表す言葉として記載して参ります。
- アフターコロナ
単に新型コロナが収束した後という時期的なことを表す - ポストコロナ
新型コロナ禍におけるさまざまな経験を受けて、従来の延長ではない生活様式や価値観などが変化した状況を表す - ウィズコロナ
時期に関する意味ではなく、新型コロナが身近に存在するものとして共に生きていくと考える生活様式などを表す(ワクチンや治療薬などの開発により、風邪など他のコロナウイルスと同等の状況になる)