コロナ禍で低迷したサウナ業界、新しく生まれたサービスが起爆剤となるか

温泉大国ニッポン。温泉をこよなく愛する日本の文化。同時に日本人は約1300年以上も前から"蒸風呂"や"石風呂"を愛してきた「サウナ大国」でもあり、時代ごとに様式を進化させながら継承してきました。そして現代人の悩みにサウナの効用がぴったりとマッチした結果、現在のサウナブームが起こりました。


若者を中心に2019年頃から爆発的な拡大をみせているサウナブーム。サウナと水風呂を繰り返し、外気浴を行うことでリラックス状態になる、いわゆる「ととのう」ことが快感になると全国で急速に広がりました。今回はサウナ業界の動向をみていきましょう。


2019年より前のサウナ業界は、盛り上がりをみせていた一方で、温浴施設を運営する業者の収入高は低迷していました[1]

厚生労働省がまとめた「衛生行政報告例」によると、私営浴場のうち、いわゆる"昔ながらの銭湯"である「一般公衆浴場」が10年前に比べ約4割減少した一方で、スポーツ施設(ジムやフィットネスクラブ)やスーパー銭湯、レジャー浴場が増加しました。その結果、全体の施設数は減少し、好立地の人気施設などに人が集中して、集客力に差が出始めました。


私営浴場の施設数推移

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そしてコロナ禍となった2020年以降は、集団感染防止のために3密(密閉・密集・密接)を回避するような呼びかけが始まり、その影響でサウナ施設の利用制限や利用停止が増え、業界は衰退すると思われました。しかし、全体として業況は抑制されましたが、個室サウナや少人数でのサウナ室など新たな業態が誕生するきっかけとなったのです。
一般社団法人日本サウナ・温冷浴総合研究所が2023年3月7日(サウナの日)にリリースした「日本のサウナ実態調査2023」によると、2020年度のサウナ利用者は約2500万人、2021年度は1500万人と減少しましたが、2022年度は1600万人と100万人程度回復しています。


サウナ施設などを運営する温浴業者176社のコロナ禍3年間(2020年度~2022年度)の収入高合計をみると、2020年度は約2039億円、2021年度は1500億円、2022年度は1798億円と推移しています。2021年度は500億円近く減少しましたが2022年度は約300億円近く回復しています。


コロナ禍での収入高と利用者数の推移

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直近をみると、利用者数も収入高も回復傾向にあり、今後はコロナ禍以前の水準に回復するかどうかが注目されるでしょう。
また、昨今のライフスタイルの変化やエネルギーコストの増加などによって、顧客のニーズも変化しています。価格だけでなく、環境への配慮や健康面への効果に重点を置く顧客が増えており、業界はそれに応えるために新たな施策を講じています。例えば、オーガニック素材を使用した健康ドリンクの提供や、リラクゼーションやメディテーションの要素を取り入れたプログラムの開発などがあります。


このような変化のなかで、サウナ・温浴業界は進化し続け、その魅力を保ちながら持続可能性を追求しています。エネルギー効率の向上と顧客のニーズへの適応によって、より多くの人々がリラックスと健康を追求するための場としてサウナを選ぶことになるでしょう。未来のサウナ・温浴業界は、地球にも人々にもやさしい存在として、ますます注目を浴びることが期待されます。



[1]帝国データバンクが保有する企業概要データベース「COSMOS2」から、温浴施設を運営し、かつ過去10年間の業績比較が可能な228社の収入高合計を用いて分析










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