2005年11月の景気動向調査
景気DIは46.2、今回の景気回復局面での最高を3カ月連続更新
2005年11月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は46.2となり、前月比0.2ポイント増と5カ月連続して改善、3カ月連続で今回の景気回復局面での最高水準を更新した。しかし、改善幅は5カ月間で最小にとどまった。
好調な経済統計や政府・日銀の景気踊り場脱却宣言などによって国内景気の再拡大局面入りが確認されて以降、景気DIは順調な改善傾向をたどっている。11月も、引き続きデフレ脱却期待やIT在庫調整終了などから多くの業界で景況感が改善した。また、日経平均株価が約5年ぶりに1万5,000円を突破したことや政府系金融機関改革の進展にともなう構造改革への期待も、全体の景況感にプラスに作用した。
なかでも、自動車メーカー大手各社の増産と旺盛な設備投資意欲や、主要企業の今冬のボーナスが大幅に増える見通しとなっていることなどを背景に、自動車関連業界や小売業界の改善が目立った。
一方、牽引役となっている不動産業界は耐震強度偽装の発覚による不安拡大などの影響で5カ月ぶりに悪化に転じたほか、飲食料品の関連業界も「鳥インフルエンザの影響で荷動きが停滞している」(食肉卸、東京都)などの声に代表されるように、ウィルス感染拡大への懸念から景況感が大きく悪化した。また、原油高リスクや減産によって鉄鋼や化学関連業界の景況感が引き続き萎縮していることも、全体の景況感の改善幅縮小につながった。
今後については、「1年後」の先行き見通しDIは改善したものの、改善幅は0.1ポイントと小幅なうえ、「3カ月後」、「6カ月後」はいずれも悪化しており、景気回復の持続力への不透明感が依然として払拭されていないことが示されている。
2006年は財政改革の一環として、所得税減税の廃止や医療・社会保険料の引き上げのほか、消費税率の引き上げ論議の再燃が避けられないことから、「マイナス要因が目白押しで個人消費が抑えられる」(漬物卸、大阪府)と国民負担増にともなう今後の消費動向への懸念が高まってきている。また、春には金利上昇リスクが顕在化してくる可能性があり、米国の住宅景気への懸念や年末の需要期に入る原油の価格再騰リスクも依然として払拭されていない。
このため、国内経済は内需拡大を背景にしばらくは堅調に回復基調をたどると思われるものの、その足取りは緩やかなものにとどまる可能性が高い。