2005年12月の景気動向調査
2005年国内景気、内需拡大を背景に調整局面脱する
2005年12月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は47.0となり、前月比0.8ポイント増と6カ月連続して改善、4カ月連続で今回の景気回復局面での最高水準を更新した。改善幅は3カ月ぶりに前月(0.2ポイント)を上回り、このところ伸び悩んでいた足元景気の回復基調が再び力強さを増していることが裏付けられた。
これにより、2005年は1月(42.3)から4.7ポイント上昇した。デジタル景気の調整や原油高リスクの高まりによって6月までは踊り場局面が続いていたが、7月以降はIT在庫調整が一巡したことやデフレ脱却、構造改革への期待などを背景に再び回復基調が鮮明となり、『金融』や『卸売』、『小売』、『サービス』などの内需をはじめ幅広い業界で景況感が改善した。
特に、『小売』は今冬のボーナス商戦やギフト・高額品が好調だったうえ、厳冬で冬物重衣料が好調だった繊維関連の改善により、11月、12月と2カ月連続して前月比1ポイント以上改善、個人消費の拡大期待への高まりを反映した。
一方、『不動産』は好調なマンション販売や地価の下げ止まりなどにより、2005年7月以降は判断の分かれ目となる50ポイントを超えて推移。全体の景況感を下支えしてきたが、年末にかけて耐震強度偽装問題に対する不安や不動産関連融資が日銀から監視される方針が打ち出されたことで、11月、12月は景況感が停滞した。
今後については、先行き見通しDIが2005年9月以来3カ月ぶりに「3カ月後」「6カ月後」「1年後」ともに前月比で改善し、2004年7月以来17カ月ぶりにすべてで50ポイントを超えた。特に「3カ月後」の先行き見通しDIが前月比1.1ポイント改善し、先行指標の日経平均株価も1万6,000円台まで急ピッチで上昇するなど、回復基調の持続への期待が高まっている。
しかし、「6カ月後」、「1年後」が「3カ月後」を下回っていることが示すように、中・長期的な景気回復の持続力への不透明感は依然として払拭されていない。これは、所得税減税の廃止や医療・社会保険料の引き上げ、消費税率の引き上げ論議の再燃など増税による個人消費の腰折れ懸念が漂っていることが背景にある。実際、今回の調査で国内景気の回復持続の条件を尋ねた結果、多くの企業が「個人消費」を挙げており、2006年の国内経済の行方は個人消費の動向にかかっていると言っても過言ではない。
国内経済は2006年も内需拡大を背景に回復基調をたどるとみられるが、個人消費の動向のほかにも金融の量的緩和解除やそれに伴う金利上昇、また米国の住宅景気や原油価格動向といったリスクが内包されており、2006年後半は弱含みの展開となる可能性も否定できない。