2011年11月の景気動向調査
景気DIは35.5、内外需とも弱く、国内景気は踊り場局面に
< 2011年11月の動向 : 踊り場局面 >
2011年11月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.6ポイント減の35.5となり、3カ月ぶりに悪化した。
震災から8カ月が経過し、企業の生産活動は回復傾向にあったものの、個人消費が停滞するなかで、円高の長期化やタイの洪水被害の影響拡大、不安定な欧米の景気動向などが国内景気の緩やかな回復に水を差すかたちとなった。
ただ、復興需要の増加により『東北』は全国10地域中、3カ月連続で第1位となった。特に、「宮城」など被災県の回復傾向が続いており、なかでも建設業の回復が著しい。しかし、これらが国内景気全体を底上げするまでには至っておらず、全国の業界別でみても10業界中、『製造』や『小売』など7業界が悪化した。
国内景気は内外需とも弱く、踊り場局面に入っている。
・円高や欧州危機の拡大、タイの洪水被害などが、企業収益を下押し
1ドル=77円前後と円高の傾向に変化はなく、厳しい輸出環境が続いた。また、タイの洪水被害は現地の生産活動や日本への原材料、部品の供給にも支障をきたしたことで、国内のメーカーだけでなく、流通や販売店などにも悪影響を与えた。
・雇用や所得の低迷続き、個人消費は停滞傾向に
雇用や所得の回復が進まないことから、家計における消費マインドは上向かず、歳末商戦を前にして消費者の動きは鈍かった。初冬としては比較的暖かい日が続いたことも、季節関連需要の伸び悩みにつながった。
・復興需要により『東北』が3カ月連続で第1位、県別では「宮城」が4カ月連続で第1位
復興需要の増加で『東北』は全国10地域中、3カ月連続で第1位となった。特に、「宮城」は域内の『建設』や『製造』などの改善が他地域に比べて際立っており、47都道府県別で4カ月連続の第1位となり、「福島」(第3位)、「岩手」(第4位)も上昇した。
< 今後の見通し : 踊り場局面 >
今後も復興需要の増大が見込まれ、景気回復のための追加の政策支援も検討されている。冬の節電対策に向けた製品やサービスの投入なども歳末商戦を盛り上げ、内需の底上げに寄与することが期待される。
しかし、欧州の金融不安に収束の見通しは立っておらず、米国や新興国などの景気減速も懸念される。企業の輸出環境が早期に改善される兆しはなく、産業空洞化や雇用の低迷などに拍車がかかる恐れも強い。エネルギーの安定供給や貿易問題、税制・社会保障改革などの行方も依然として不透明である。
景気予測DIは「1カ月後」(36.0、当月比0.5ポイント増)、「3カ月後」(36.0、同0.5ポイント増)、「6カ月後」(37.3、同1.8ポイント増)となった。
国内景気は復興需要による下支えが期待されるものの、内外需とも閉塞感を強めており、踊り場局面が長引く可能性がある。