2012年11月の景気動向調査
景気DIは35.3、前月比0.2ポイント減と4カ月連続で悪化
< 2012年11月の動向 : 後退局面入り >
2012年11月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.2ポイント減の35.3となり、4カ月連続で悪化した。
復興需要の効果が限られた地域で現れた『建設』は6カ月連続で改善したものの、『製造』や『運輸・倉庫』などでは長引く円高や日中関係の悪化などが影響し、10業界中5業界が悪化した。前月(2012年10月)から悪化業種は減少したが(前月:44業種→今月:25業種)、全体として2011年8月(35.2)以来15カ月ぶりの低い水準となった。
欧米経済の停滞や日中関係の悪化など外需は低迷しており、企業活動や個人消費など内需も上向く兆しが現れていない。
国内景気は、復興需要があるものの、海外経済の弱さや内需にも明るさがみえないなか、後退局面に入っている。
・円高に中国向け輸出の減産も加わり、『製造』は4カ月連続で悪化
『製造』は円高や米国の干ばつによる飼料価格の高騰、中国向け輸出の減産などが響き、4カ月連続で悪化した。特に家電業界や自動車業界の低迷の影響を受けて「化学品製造」が前月比で1.7ポイント減少するなど、『製造』は生産や出荷活動に回復がみられず、初めて10業界中で最低となった前月の水準を下回り4カ月連続で悪化した。
・改善は一部にとどまり、『サービス』は3カ月連続で悪化
情報化投資が一部の企業で回復の兆しをみせたことで「情報サービス」が改善したものの、サービス業全体には広がっていない。特に、同業他社の価格競争が激化していることに加えて、メーカーの人員削減などの影響を受けて「人材派遣・紹介」が悪化するなど、15業種中8業種で悪化した『サービス』は3カ月連続の悪化となった。
・『東海』、対中関係の悪化の影響を受け4カ月連続で悪化
『東海』は欧米景気の停滞や円高、日中関係の悪化などにより域内の『製造』が3カ月連続で悪化したほか、『小売』や『サービス』など10業界中6業界が悪化したことで、4カ月連続で悪化した。『東北』は4カ月ぶりに改善した。
< 今後の見通し : 緩やかな後退局面 >
総選挙を控えて、景気対策が停滞する懸念はあるものの、日本経済を下支えする役割として各党が掲げる金融緩和政策はプラス材料といえる。また、消費税率引き上げを前にした白物家電や住宅などの駆け込み需要や復興需要は期待される。
他方、長びく円高や資源高など国内企業が直面する経営環境の厳しさは続いている。また、米国における大統領選挙や中国の指導者の交代、さらに韓国の大統領選挙も控えており、各国の今後の経済政策には不確実な要素が多い。加えて、日中関係悪化の長期化による経済への悪影響も懸念される。国内では消費税率引き上げや復興増税など家計負担の増大は個人消費にとって悪材料といえる。
景気予測DIは「1カ月後」(35.2、当月比0.1ポイント減)、「3カ月後」(34.9、同0.4 ポイント減)、「6カ月後」(35.7、同0.4ポイント増)となった。
国内景気は内外需ともに弱く、短期的には緩やかな後退局面が続くとみられる。