2013年11月の景気動向調査
景気DIは48.3、過去最高を更新
< 2013年11月の動向 : 全面的に上昇 >
2013年11月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比1.5ポイント増の48.3となり、5カ月連続で改善した。2006年3月(47.9)を上回り、2002年5月の調査開始以来最高を更新した。
11月は緊急経済対策による補正予算の執行がピークを迎えたことで公共工事を中心に建設需要が増加した。同時に、米国のイエレン次期FRB議長の声明案により金融緩和縮小の早期開始懸念が大きく後退したことなどもあり、金融市場は円安・株高の傾向を示した。また、自動車など輸出が増加した。『建設』『製造』『卸売』『小売』など10業界中8業界が改善し、地域別では『北海道』『東北』など地方圏を中心に7地域が過去最高となった。規模別では「大企業」と「小規模企業」がこれまでで最も高く、小規模な企業にもアベノミクス効果が波及しており、全体でも過去最高を更新する要因となった。
国内景気は全面的な上昇の様相を呈している。
■調査結果のポイント
- 「大企業」と「小規模企業」で過去最高を更新した。中小企業の改善幅が大きく規模間格差が縮小する傾向がみられ、小規模な企業にもアベノミクス効果が波及してきた。
- 『建設』は5カ月連続で改善し、『製造』とともに最大の改善幅となった。駆け込み需要で好調な住宅建築にともない内装工事が増加している。また、病院や介護施設など福祉施設の建設需要も現れ、社内における人材の稼働率も上昇している。
- 地域別では、『北海道』『東北』『北関東』『北陸』『中国』『四国』『九州』の7地域が過去最高を更新した。『四国』は10地域中最大の改善幅となった。住宅着工の増加で「木材利用ポイント」制度の活用拡大などで、建材や農林水産関連が改善した。
< 今後の見通し : 上昇が持続 >
2013年1月に策定された緊急経済対策関連の事業執行がピークを迎えつつあるなか、消費税率引上げにあわせた5兆円規模の経済対策が本格化するとみられ、法人税減税の措置などもあいまって設備投資の増加や賃上げなどが期待される。また、7~9月期の機械受注(外需)が前期比+10.9%の高い伸びを示しており、円安の定着とともに機械類の輸出を促進すると見込まれる。さらに、2014年度には東京五輪関連の事業が始まることもあり、建設やソフトウェア投資、インフラ整備などの特需が期待されるほか、固定価格買取制度による太陽光発電のシステムや設置などの需要が見込まれる。また、円安の定着は、海外からの観光客増加に寄与すると予測される。加えて、政府の財政再建への取り組みの進展により、長期金利が急上昇する圧力も弱まることも好材料になる。
内外需の堅調さに支えられて企業活動はさらに活発になると見込まれ、国内景気の上昇は継続するとみられる。