2015年11月の景気動向調査
国内景気は膠着状態に
■調査結果のポイント
- 11月の景気DIは44.8で前月と同水準となった。燃料価格の低下で企業のコスト負担が和らいだ一方、中国景気の減速は『製造』を中心に表れてきた。大企業と中小企業がともに横ばいを示すなど、国内景気は膠着状態となっている。今後は、企業業績が堅調なものの、先行きに不透明感が漂うなか、一進一退で推移していくとみられる。
- 業界別では『建設』『運輸・倉庫』など4業界が改善した一方、『卸売』『小売』など4業界が悪化、『製造』と『サービス』の2業界が横ばいとなった。国際商品価格の低下で仕入価格の上昇が幾分緩和してきたなか、自動車関連は徐々に改善傾向を示してきたものの、家計の節約志向が高まっている。
- 地域別では、『北海道』『北関東』など5地域が改善、『近畿』『九州』など3地域が悪化、『南関東』と『北陸』の2地域が横ばいとなった。『北関東』は自動車関連が好調で2カ月連続で改善した一方、『近畿』は個人消費関連で厳しい状況が続くなか、中国景気減速の影響も受け、4カ月連続で悪化した。
< 2015年11月の動向 : 膠着状態>
2015年11月の景気DIは44.8となり前月と同水準で、景気は横ばいとなった。
11月は、内閣府から2015年7~9月期の実質GDP成長率が前期比-0.2%と2四半期連続のマイナス成長だったことが公表された。中東産ドバイ原油が一時7年ぶりに1バレル=40ドルを割るなど原油価格が安値圏で推移したことで、ガソリンや軽油価格が5週連続で低下し、企業のコスト負担を和らげる要因となった。一方、実質賃金が伸び悩むなかで家計の節約志向は高まってきており、『小売』は3カ月連続で悪化している。中国景気減速の影響が『製造』を中心として表れているが、アルミや銅など国際市場で決まる商品価格は中国などの需要低迷を受けて低下しており、輸入を通じた仕入価格は徐々に落ち着きを取り戻しつつある。9年9カ月ぶりに「大企業」と「中小企業」が同時に横ばいを示すなど、
国内景気は膠着状態となっている。
<今後の見通し :一進一退で推移>
海外経済では、新興国や資源国経済の下振れによる世界経済の減速懸念のほか、米国による金利引き上げの影響は輸出にマイナス材料となろう。国内では、在庫調整圧力が残るほか、先行き不透明感を背景とした設備投資の様子見姿勢や人材不足による人件費の上昇など企業のコスト負担が懸念材料となる。他方、2016年度に入ってからは、2017年4月の消費税率引き上げを控えた駆け込み需要が住宅や高額耐久財などで発生すると予測される。また、雇用者数の増大とともに所得の増加が期待される。
今後の国内景気は、企業業績が堅調なものの、先行きに不透明感が漂うなか、一進一退で推移していくとみられる。
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