2015年12月の景気動向調査
国内景気の停滞続く
■調査結果のポイント
- 12月の景気DIは前月比0.1ポイント減の44.7となり3カ月ぶりに悪化した。全国的に気温や海水温が高く、『製造』や『卸売』の食品関連の景況感悪化の一因となった。国内景気は、公共工事減少や暖冬による季節商材の販売不振などで地方の景気低迷が長引いており、停滞が続いている。今後は、下振れリスクをはらみつつ推移すると見込まれる。
- 業界別では『不動産』『小売』など5業界が悪化した一方、『農・林・水産』『製造』など3業界が改善、『卸売』『サービス』の2業界が横ばいとなった。『小売』は冬物衣料の販売が不調だった。また、くい打ちデータ改ざんの影響が『建設』や『不動産』で徐々に拡大してきている。
- 地域別では、『北海道』や『四国』『九州』など6地域が悪化、『東海』と『近畿』の2地域が改善、『南関東』と『中国』の2地域が横ばいとなった。『九州』は製造や不動産など6業界で悪化した。また、『北海道』では飲食店やメンテナンス・警備関連が弱く3カ月連続で40を下回る水準となった。
< 2015年12月の動向 : 停滞>
2015年12月の景気DIは前月比0.1ポイント減の44.7となり3カ月ぶりに悪化した。2015年の景気DIは年初と比較して0.8ポイント増と改善したものの、4月以降、悪化または横ばいが7カ月あり、景気は停滞感の漂う一年となった。
12月は、エルニーニョ現象が生鮮市場に悪影響をもたらしたうえ、冬物衣料の販売不振が服飾品小売の景況感を大幅に悪化させる背景ともなった。また、石油業界では、原油価格が再び下落に転じたものの販売価格の低下は大きく、収益を圧迫する要因となった。他方、公共工事の減少が続くなか、くい打ちデータ改ざんが建設や不動産などの業界に悪影響を徐々に及ぼしてきている。さらに、中国経済の減速を受けて、中国向け製品の減産に踏み切る動きも表れた。
国内景気は、公共工事減少や暖冬による季節商材の販売不振などで地方の景気低迷が長引いており、停滞が続いている。
<今後の見通し :下振れリスクをはらみつつ推移>
2016年1月は、日経平均株価が米国や上海株式市場の影響を受けた大幅下落で幕を開けた。中国経済の減速が引き続き懸念されるほか、中東における政情不安の高まりは、原油輸入の8割を中東に依存する日本経済の大きな懸念材料となる。他方、米国が原油輸出を解禁したことで、原油価格の低水準は継続するとみられ、企業のコスト負担を和らげる要因となる。また、米国金利引き上げや円高など海外の経済動向に関する悪材料が重なる。アベノミクス第二弾の実行、企業業績の改善による賃金上昇や設備投資は好材料となるが、
今後の景気は、中東有事次第では原油価格高騰によりインフレ懸念が生じることで消費減退などに影響を及ぼす可能性もあり、下振れリスクをはらみつつ推移するとみられる。