2018年2月の景気動向調査
大雪や人手不足が企業活動の停滞招く
■調査結果のポイント
- 2018年2月の景気DIは0.8ポイント減の50.3となった。50台は維持したものの、2017年1月以来1年1カ月ぶりに悪化した。国内景気は、拡大基調が続くなか、大雪や人手不足の深刻化、コスト負担増が下押し圧力となり一服した。今後の国内景気は、輸出や設備投資など企業部門がけん引し拡大が見込まれる一方で、金融市場の動向などを注視する必要がある。
- 10業界のうち『その他』を除く9業界が悪化した。北陸などの日本海側や北日本を襲った大雪が物流や工事進捗の停滞を招いた。人件費や燃料費などのコスト負担が増すなか、人手不足の深刻化から供給制約などの悪影響が一部で出た。
- 『北海道』『北陸』など10地域中9地域が悪化、『九州』が改善となった。北日本を中心に大雪が地域経済に大きな影響を与えた。復旧・復興工事は継続しているものの、新設住宅着工戸数や公共工事の減少は特に地方圏の建設業の悪化要因となった。規模別では、1年1カ月ぶりに「大企業」「中小企業」「小規模企業」がそろって悪化した。
< 2018年2月の動向 : 拡大基調に一服 >
2018年2月の景気DIは前月比0.8ポイント減の50.3となった。50台は維持したものの、2017年1月以来1年1カ月ぶりに悪化した。
2月の国内景気は、一部地域を襲った猛烈な寒波や大雪が企業活動および消費活動の停滞を招き、悪化した。人手不足の深刻化にともなう受注見送りや供給制約が一部企業でみられたほか、人件費や燃料価格、食品価格の高値推移も重なるなどコスト負担が企業経営を圧迫。また円高進行や株価下落といった為替・株式相場の変動が、企業取引やマインドに悪影響を与えた。
国内景気は、拡大基調が続くなか、大雪や人手不足の深刻化、コスト負担増が下押し圧力となり一服した。
< 今後の見通し : 拡大基調で推移 >
先行きについては、世界経済の回復を受け輸出の増加基調が続くほか、好調な企業収益を背景に設備投資も堅調に推移すると見込まれる。個人消費は緩やかに回復すると予想されるが、景気のけん引役となるには実質可処分所得の増加が不可欠となる。また五輪関連需要や消費税率引き上げ前の駆け込み需要も景気を押し上げるであろう。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げや、国内外の金融市場動向に注視する必要がある。雇用過不足DI(正社員)で過去最高更新が続くなど、人手不足深刻化にともなう人件費増や事業活動の停滞といった悪影響も懸念される。
今後の国内景気は、輸出や設備投資など企業部門がけん引し拡大が見込まれる一方で、金融市場の動向などを注視する必要がある。
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