2018年3月の景気動向調査
国内景気は足踏み状態
■調査結果のポイント
- 2018年3月の景気DIは前月比0.1ポイント増の50.4となり、2カ月ぶりに改善した。国内景気は、輸出の好調や年度末需要がプラスとなった一方で、住宅建設の減少に加え、原材料価格が高水準で推移したことなども響き、足踏み状態となった。世界的な保護貿易主義の高まりによる影響が懸念されるものの、今後の国内景気は企業部門の好調が続き、緩やかに拡大していくと見込まれる。
- 10業界中『運輸・倉庫』など7業界が改善、『建設』など3業界が悪化した。年度末需要が運輸など一部の業界で追い風となる一方、人件費や輸送費に加え、食品や鋼材などの原材料価格も上昇し仕入れ単価DIが3年3カ月ぶりに60台となるなど、企業収益を圧迫した。
- 『北海道』『北陸』など10地域中4地域が改善、『中国』など6地域が悪化した。企業設備投資の増加や主力産業の改善が好材料となった地域もみられた。一方で、『東海』以西がいずれも悪化しており、西日本を中心とした地域で下振れ傾向が表れた。
< 2018年3月の動向 : 足踏み状態 >
2018年3月の景気DIは前月比0.1ポイント増の50.4となり、2カ月ぶりに改善した。
3月の国内景気は、自動車や加工機械の輸出好調が続いたほか、需要期にあたる不動産取引の活発化などがプラスに働いた。また、好天に恵まれ例年に比べ気温が高かったことから消費が上向いたほか、燃料価格の上昇が一服したことも押し上げ要因となった。一方で、食品や鋼材などの原材料価格が上昇し、企業収益を圧迫。米国による鉄鋼とアルミニウムの輸入制限発動や対中輸入関税措置を受け、為替相場などが変動したことも一部で影響をおよぼした。
国内景気は、輸出の好調や年度末需要がプラスとなった一方で、住宅建設の減少に加え、原材料価格が高水準で推移したことなども響き、足踏み状態となった。
< 今後の見通し : 緩やかに拡大 >
世界経済は引き続き回復傾向で推移すると予想されるものの、保護主義の広がりから貿易摩擦が厳しさを増していくことが懸念される。一方、国内景気は、設備投資や輸出の増加がけん引役となって拡大が見込まれる。ただし、リスク要因として、人手不足の深刻化や為替相場の動向、経済政策の停滞が景気の下押し圧力となる可能性について、一定の注意を払う必要があろう。また、雇用環境の改善が下支えする個人消費が今後力強く改善していくためには、実質可処分所得の増加がカギとなる。
世界的な保護貿易主義の高まりによる影響が懸念されるものの、今後の国内景気は企業部門の好調が続き、緩やかに拡大していくと見込まれる。
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