2018年4月の景気動向調査
国内景気は足踏み状態続く
■調査結果のポイント
- 2018年4月の景気DIは前月比0.6ポイント減の49.8となり、2カ月ぶりに悪化した。国内景気は、コスト負担増に工事量減少や生産活動の停滞も重なったことで50を割り込み、足踏み状態が続いた。今後は緩やかな拡大傾向での推移が見込まれる一方で、懸念される貿易摩擦の激化などが景気を下押しするリスクを注意深く見守る必要がある。
- 10業界すべてが悪化。全業界が悪化したのは、株式・為替市場の大幅な変動が響いた2013年6月以来となる4年10カ月ぶり。コスト負担が重くのしかかるなか、年度末需要の反動による工事量減少や生産活動の低迷を受け、『建設』など3業界が1ポイント超悪化した。
- 『北関東』『近畿』『九州』など10地域中9地域が悪化、『北陸』の1地域が改善した。好調なインバウンド需要や設備投資の堅調さがみられた一方、公共工事の減少に加え、鋼材や燃料価格を含む原材料費の上昇などが悪材料となった。
< 2018年4月の動向 : 足踏み状態続く >
2018年4月の景気DIは前月比0.6ポイント減の49.8となり、2カ月ぶりに悪化した。
4月の国内景気は、新年度に入り例年以上に公共工事量が落ち込んだことや住宅着工戸数の減少継続がマイナス要因となり、建設業の景況感が悪化した。また円高傾向で推移するなか、大型連休を控え生産活動が停滞したことが製造業の下押し圧力となった。石油および非鉄金属などの原材料費や輸送費、人件費の上昇にともなう負担増が続いたほか、海外経済リスクの高まりが企業マインドにマイナスの影響を及ぼし、2017年10月以来6カ月ぶりに50を割り込んだ。
国内景気は、コスト負担増に工事量減少や生産活動の停滞も重なったことで50を割り込み、足踏み状態が続いた。
< 今後の見通し : 拡大傾向に変調の可能性 >
国内経済は、東京五輪や消費税率引き上げにともなう駆け込み需要が追い風となり、緩やかな拡大傾向での推移が見込まれる。好調な輸出に加え、業績拡大や省力化需要の高まりを背景とした設備投資が引き続きけん引役となるほか、個人消費は雇用環境の改善や賃金上昇などを受けて緩やかな回復が続くと予想される。マイナス要因として、人手不足の深刻化や経済政策の停滞は一部懸念材料となろう。世界経済は回復が続くと予測されるものの、保護貿易主義の台頭にともなう貿易摩擦の激化や地政学的リスクが景気へ及ぼす影響に一層の注意が必要である。
今後は緩やかな拡大傾向での推移が見込まれる一方で、懸念される貿易摩擦の激化などが景気を下押しするリスクを注意深く見守る必要がある。
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