2018年5月の景気動向調査
原油高響き、国内景気は2カ月連続で悪化
■調査結果のポイント
- 2018年5月の景気DIは前月比0.4ポイント減の49.4となり、2カ月連続で悪化した。日本経済を取り巻く環境に不透明感が増すなか、国内景気は原油価格上昇が企業や個人のコスト負担増を招いたことが響き、足踏み状態が続いた。今後の国内景気は輸出や設備投資がけん引していくと見込まれるものの、海外リスクの顕在化が景気を下押しする可能性について注視する必要がある。
- 10業界中6業界が悪化、4業界が改善した。原油高が企業活動や消費に悪影響を及ぼすなか、消費マインドが弱含み、『小売』は消費税増税時となる2014年4月以来の下げ幅となった。
- 『東北』『南関東』『近畿』など10地域中8地域が悪化、『東海』『中国』の2地域が横ばいとなった。ゴールデンウイーク明けに物流や小売・個人向けサービスが低迷したほか、仕入単価の上昇も景況感が悪化する一因となった。規模別では、「大企業」「中小企業」が悪化、「小規模企業」は横ばいとなった。
< 2018年5月の動向 : 足踏み状態続く >
2018年5月の景気DIは前月比0.4ポイント減の49.4となり、2カ月連続で悪化した。
5月の国内景気は、原油価格が1バレル=72ドル台(WTI)とおよそ3年半ぶりの高値をつけガソリンや軽油などの価格が上昇したことから企業や個人のコスト負担が増し、景況感を押し下げる要因となった。加えて、食品や電気料金の値上げで消費マインドが弱含んだことや人手不足の深刻化を受け、小売業およびサービス業の消費関連業種が悪化。米トランプ政権による保護貿易主義の拡大も企業マインドにマイナスに響き、1年11カ月ぶりに2カ月続けて悪化した。日本経済を取り巻く環境に不透明感が増すなか、
国内景気は原油価格上昇が企業や個人のコスト負担増を招いたことが響き、足踏み状態が続いた。
< 今後の見通し : 拡大傾向に変調の可能性 >
国内景気は、世界経済の回復を背景に輸出の増加が続くほか、設備投資も省力化や東京五輪向けの需要を受けて堅調に推移すると見込まれる。個人消費は夏季賞与などを含めた賃金上昇や消費税率引き上げにともなう駆け込み需要から、緩やかな回復が続くであろう。一方で、米中の貿易摩擦激化や欧州における景気減速懸念、中東などの地政学的リスクの高まりといった海外情勢の動向については、注意深く見守る必要がある。また人手不足などにともなうコスト負担の増加や経済政策の停滞もマイナスの影響を及ぼすであろう。
今後の国内景気は輸出や設備投資がけん引していくと見込まれるものの、海外リスクの顕在化が景気を下押しする可能性について注視する必要がある。
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