2018年6月の景気動向調査
国内景気は弱含み、3カ月連続で悪化
■調査結果のポイント
- 2018年6月の景気DIは前月比0.4ポイント減の49.0となり、3カ月連続で悪化した。国内景気は、貿易摩擦の拡大で不透明感が強まるなか、原油高などを受けてコスト負担が増加したことで弱含んだ。今後は引き続き輸出や設備投資が底堅く推移すると見込まれる一方で、貿易摩擦の激化など海外リスクが国内景気を下押しする可能性について注視する必要がある。
- 10業界中8業界が悪化、『建設』『不動産』の2業界が改善した。原油高などを受けた原材料価格の上昇が幅広い業界にマイナスに働き、『製造』が5カ月続けて、『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『金融』が3カ月続けて悪化した。
- 『東海』『近畿』『四国』など10地域中8地域が悪化、『北海道』『北陸』の2地域が改善した。人手不足や燃料価格の上昇がコスト負担の増加要因となったほか、大阪府北部の地震による影響が一部地域で表れた。規模別では、2カ月ぶりに「大企業」「中小企業」「小規模企業」がすべて悪化した。
< 2018年6月の動向 : 弱含み >
2018年6月の景気DIは前月比0.4ポイント減の49.0となり、3カ月連続で悪化した。
6月の国内景気は、原油高などを受けた原材料価格の上昇に人件費や輸送費の高まりも重なり、仕入単価DIが4カ月連続の60台と高水準で推移した。一方で、販売価格への転嫁が緩やかなことなどから景況感の悪化につながった。加えて米中が追加・報復関税の実施を表明したことで貿易摩擦への警戒感が高まり、企業マインドに悪影響を及ぼした。6月18日に発生した大阪府北部の地震は、ライフラインの寸断や生産活動停滞、物流の混乱を招き、一部地域の景況感を下押しした。
国内景気は、貿易摩擦の拡大で不透明感が強まるなか、原油高などを受けてコスト負担が増加したことで弱含んだ。
< 今後の見通し : 局面変化の可能性 >
国内は、世界経済の回復を背景に輸出の増加が続き、設備投資も人手不足の深刻化による省力化需要を受け底堅く推移すると見込まれる。東京五輪や消費税率引き上げにともなう駆け込み需要もプラス材料となろう。個人消費は緩やかな回復が予想される一方で、食品やエネルギー価格の上昇によって弱含む可能性がある。他方、海外動向では保護貿易主義の拡大による貿易摩擦の激化や、欧州の景気減速、中東の地政学的リスクが懸念される。
今後は引き続き輸出や設備投資が底堅く推移すると見込まれる一方で、貿易摩擦の激化など海外リスクが国内景気を下押しする可能性について注視する必要がある。
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