2018年8月の景気動向調査
国内景気は足踏み状態続く
■調査結果のポイント
- 2018年8月の景気DIは前月から横ばいの49.5となった。国内景気は、自動車関連の生産持ち直しや旺盛なインバウンド需要が続くなか、猛暑や自然災害がさまざまな影響を及ぼし、足踏み状態が続いた。今後は設備投資や輸出が堅調に推移するなか、復興需要も見込まれるものの、海外リスクの高まりから先行きの不透明感が強まっている。
- 10業界中『卸売』『サービス』など5業界が改善し、『小売』など4業界が悪化、『運輸・倉庫』が横ばいとなった。連日の猛暑や相次ぐ台風の上陸で外出を控える動きが、『小売』など個人消費関連の景況感悪化につながった。
- 『北陸』『中国』など10地域中6地域が改善、『南関東』など4地域が悪化した。7月の豪雨災害の影響が残る一方、復旧に向けた動きも表れた。また、住宅・建築物着工の減少傾向で建材関連などが下押しされるなど、地域間で景況感に温度差がみられた。規模別では「中小企業」「小規模企業」は2カ月連続で改善、「大企業」は悪化となった。
< 2018年8月の動向 : 足踏み状態続く >
2018年8月の景気DIは前月から横ばいの49.5となった。
8月の国内景気は、自動車・部品生産の持ち直しや訪日外国人観光客の増加に加え、地震および豪雨災害からの復興に向けた建設需要なども景況感の押し上げ要因となった。一方、連日の猛暑や相次ぐ自然災害が消費関連業種の悪化につながり、企業活動へも一部影響を及ぼした。また好調が続いた輸出で米国向けが減少するなど、減速感がみられた。海外では、米中双方により追加関税が発動されたほか、トルコリラの大幅下落など新興国の通貨安が広がった。
国内景気は、自動車関連の生産持ち直しや旺盛なインバウンド需要が続くなか、猛暑や自然災害がさまざまな影響を及ぼし、足踏み状態が続いた。
< 今後の見通し : 不透明感強まる >
国内景気は、東京五輪およびインバウンド需要向け建設投資や、人手不足にともなう省力化投資が増え、好調な企業収益を背景に設備投資は高水準で推移すると見込まれる。輸出も堅調に推移するほか、個人消費の緩やかな回復が国内景気を下支えすると予想される。加えて、消費税率引き上げ前の駆け込み需要や、豪雨・地震災害からの復興需要も見込まれる。一方で海外リスクとして、米中貿易摩擦の激化や中国および新興国の景気悪化が懸念されるほか、自動車分野の関税引き上げを巡る米国との通商交渉の行方が注目される。
今後は設備投資や輸出が堅調に推移するなか、復興需要も見込まれるものの、海外リスクの高まりから先行きの不透明感が強まっている。
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