2018年9月の景気動向調査
景気DIは0.1ポイント減、足踏み状態続く
■調査結果のポイント
- 2018年9月の景気DIは前月比0.1ポイント減の49.4となり、3カ月ぶりに悪化した。国内景気は、相次ぐ災害で被災地域を中心に景況感が悪化した一方で、旺盛な建設需要などが下支えし、足踏み状態が続いた。今後は設備投資や輸出が堅調に推移し復興需要も見込まれるものの、海外リスクが高まるなかで、国内景気は不透明感が強まりつつある。
- 10業界中6業界が悪化し、4業界が改善した。9月上旬に相次いだ台風や地震が一部業種の景況感悪化につながった一方、『建設』は旺盛な需要を背景に5カ月連続で改善した。
- 『北海道』『近畿』など10地域中6地域が悪化、『南関東』など3地域が改善、『北関東』が横ばいとなった。地震や台風など自然災害が相次ぎ、被災地域を中心に悪影響が表れた。一方、インバウンド需要や公共工事の増加は好材料となり、景況感はまだら模様が続いた。
< 2018年9月の動向 : 足踏み状態続く >
2018年9月の景気DIは前月比0.1ポイント減の49.4となり、3カ月ぶりに悪化した。
9月の国内景気は、台風21号により関西国際空港が機能不全に陥ったほか、北海道胆振東部地震が広域で停電を引き起こし、生産や出荷などの企業活動が制約され、個人消費やインバウンドにも悪影響を及ぼした。加えて、原油高にともなう燃料価格などの上昇や人手不足の深刻化が景況感の悪化につながった。一方で、都市部を中心とした建設需要や復興需要が旺盛であったことに加え、日経平均株価が高値で推移したことや、日米間で自動車分野の関税引き上げが当面回避されたことなどが、マインドにプラスに働いた。海外では、米中双方による追加関税の第3弾が発動された。
国内景気は、相次ぐ災害で被災地域を中心に景況感が悪化した一方で、旺盛な建設需要などが下支えし、足踏み状態が続いた。
< 今後の見通し : 不透明感強まる >
今後は、企業収益の増加を背景に設備投資の好調が続くほか、世界経済の回復を受け輸出も堅調に推移すると見込まれる。個人消費は、賃金上昇や就業者の増加を背景に2019年秋までは回復傾向が続くと予想されるが、天候不順や原油高による食品などの物価上昇を受け消費活動が一時的に低迷する可能性を注視する必要がある。また災害にともなう復興需要が発生するほか、東京五輪や消費税率引き上げの駆け込み需要も景気を下支えするであろう。他方、海外は米中貿易摩擦の激化が及ぼす影響や新興国経済の減速が懸念される。
今後は設備投資や輸出が堅調に推移し復興需要も見込まれるものの、海外リスクが高まるなかで、国内景気は不透明感が強まりつつある。
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