2018年10月の景気動向調査
景気DIが2カ月連続で悪化、国内景気は弱含み
■調査結果のポイント
- 2018年10月の景気DIは前月比0.4ポイント減の49.0となり、2カ月連続で悪化した。国内景気は、原油高による燃料価格上昇や人手不足の深刻化などがさらなるコスト負担の増加を招き、弱含んだ。今後は、設備投資の堅調な推移や消費税率引き上げの駆け込み需要が期待される一方、原油高や海外リスクが景気を下押しする可能性が懸念され、不透明感が強まっている。
- 10業界中、横ばいの『サービス』を除く9業界が悪化した。燃料価格や人件費、食材価格などの上昇からコスト負担が増したほか、中国向け輸出で減速感がみられたことも響いた。
- 『北関東』『南関東』『九州』など10地域中7地域が悪化、『中国』など3地域が改善した。雇用過不足DI(正社員)が7地域で過去最高となるなど人手不足の深刻化が広がりをみせているほか、軽油など燃料価格が4年ぶりの水準に高騰したことも悪材料となった。
< 2018年10月の動向 : 弱含み >
2018年10月の景気DIは前月比0.4ポイント減の49.0となり、2カ月連続で悪化した。
10月の国内景気は、原油高を受けてレギュラーガソリン価格が8週連続で上昇し約4年ぶりの高値を付けたほか、軽油価格や冬の需要期を迎えた灯油も高騰したことが、悪影響を及ぼした。雇用過不足DI(正社員)が60.2と過去最高を更新し人手不足が深刻化するなか、最低賃金の改定もあり人件費負担が増加したうえ、野菜など食品価格や電気料金も上昇。また中国向け機械輸出に減速感が出てきたほか、日経平均株価が10月に入り3週間余りで3,000円を超えて下落したこともマイナスに響いた。
国内景気は、原油高による燃料価格上昇や人手不足の深刻化などがさらなるコスト負担の増加を招き、弱含んだ。
< 今後の見通し : 不透明感強まる >
今後は、好調な企業収益を背景とした省力化投資の活発化や災害からの復興、訪日外国人および五輪需要の拡大を追い風に、設備投資は総じて堅調さが続くであろう。輸出は、世界経済の回復が続くなかで底堅く推移すると見込まれる。個人消費は、エネルギーや生鮮食品価格の上昇が下押し要因となるものの、雇用者所得の増加が寄与し緩やかに回復すると予想される。また、消費税率引き上げに向けた住宅などの駆け込み需要と反動減に加え、原油高や人手不足が及ぼす悪影響を注視する必要がある。海外は、米中貿易摩擦の激化や中国および新興国の景気減速、英EU離脱問題の行方などがリスク要因となろう。
今後は、設備投資の堅調な推移や消費税率引き上げの駆け込み需要が期待される一方、原油高や海外リスクが景気を下押しする可能性が懸念され、不透明感が強まっている。