2018年12月の景気動向調査
国内景気、弱含み傾向続く
■調査結果のポイント
- 2018年12月の景気DIは前月比0.1ポイント減の49.4となり、2カ月ぶりに悪化した。国内景気は年末需要がみられたものの、一方で人手不足に拍車をかけたほか、輸出減速などにともない製造業が悪化するなど、弱含み傾向が続いた。今後は、消費税率引き上げにともなう需要増と反動減が予想されるほか、中国など外需の減速や日米通商交渉の行方が懸念され、不透明感が一層強まっている。
- 10業界中3業界が悪化、6業界が改善、1業界が横ばいとなった。年末需要や堅調な建設需要が追い風となる一方、人手不足に拍車をかけ企業活動にマイナスの影響を与えた。中国向け輸出の減速などが製造業の景況感を押し下げた。
- 『南関東』『北陸』など10地域中3地域が悪化、『四国』など3地域が改善、『近畿』など4地域が横ばいとなった。米中貿易摩擦の影響が顕在化しつつあるなか、暖冬の影響も一部地域で表れた。また、2016年9月以来2年3カ月ぶりに、全10地域が前年同月より悪化した。
< 2018年12月の動向 : 弱含み >
2018年12月の景気DIは前月比0.1ポイント減の49.4となり、2カ月ぶりに悪化した。
12月の国内景気は、幅広い業種で年末需要が発生したことから雇用過不足DI(非正社員)が過去最高を更新するなど人手不足に拍車がかかり、一部で受注機会の損失や進捗遅れにつながった。中国向け輸出の減速などを背景に製造業が悪化したほか、月末にかけ株価や為替相場など金融市場は不安定な動きとなった。他方、災害復旧・復興工事や住宅着工などの建設需要が堅調に推移し、燃料価格の低下や冬季賞与増加はプラス材料となった。
国内景気は年末需要がみられたものの、一方で人手不足に拍車をかけたほか、輸出減速などにともない製造業が悪化するなど、弱含み傾向が続いた。
< 今後の見通し : 不透明感強まる >
今後、設備投資は省力化やシステム投資を中心に底堅く推移し、個人消費は良好な雇用・所得環境を受け、緩やかながら回復が続くであろう。2019年10月の消費税率引き上げを見据えた駆け込み需要が表れる一方、その後の反動減が懸念され、落ち込みの軽減に経済対策が一定の効果を果たすと期待される。海外動向は、中国などを中心に世界景気の減速を受け、輸出の増加基調が鈍化すると予想される。また日米物品貿易協定(TAG)の行方や、米金利政策・英EU離脱などを受けた金融市場の動向を注視していく必要がある。
今後は、消費税率引き上げにともなう需要増と反動減が予想されるほか、中国など外需の減速や日米通商交渉の行方が懸念され、不透明感が一層強まっている。
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