2019年1月の景気動向調査
国内景気、後退局面入りの兆し
■調査結果のポイント
- 2019年1月の景気DIは前月比1.3ポイント減の48.1となり、2カ月連続で悪化した。国内景気は、中国向けなど輸出の減速に加えて、暖冬傾向や人手不足もマイナス材料となり悪化、後退局面入りの兆しが表れてきた。今後の国内景気は、消費税率の引き上げやコスト負担の増加に加え、海外を中心としたリスクの高まりによって、下押しされる可能性があり、不透明感が一層強まっている。
- 10業界中9業界が悪化し、『農・林・水産』が改善した。貿易摩擦を背景とした中国経済低迷による輸出減速などを受け、『製造』を中心に幅広い業種の景況感が悪化した。
- 『北関東』『南関東』『近畿』など10地域すべてが悪化した。全地域が悪化したのは2年11カ月ぶり。深刻な人手不足が続くなか、海外需要の鈍化や一部地域で低調な公共工事などが地域経済の悪化要因となった。40都道府県で悪化し、消費税率引き上げで全都道府県が悪化した2014年4月以来の広がりとなった。
< 2019年1月の動向 : 後退局面入りの兆し >
2019年1月の景気DIは前月比1.3ポイント減の48.1となり、2カ月連続で悪化した。
1月の国内景気は、米中貿易摩擦を背景として、中国向けを中心とした機械や半導体関連の輸出減少による製造業の大幅な悪化が、関連する卸売業や物流にマイナスの影響を及ぼした。世界経済減速への警戒感が高まるなかで、発注量の抑制や新規案件を見送る動きも一部で生じてきた。加えて、暖冬傾向による冬物商材の需要低迷や一部地域で低調な公共工事が悪材料となったほか、人手不足の深刻化はコスト増や企業活動の停滞を招いた。
国内景気は、中国向けなど輸出の減速に加えて、暖冬傾向や人手不足もマイナス材料となり悪化、後退局面入りの兆しが表れてきた。
< 今後の見通し : 不透明感が一層強まる >
今後、設備投資は省力化投資を中心に当面底堅く推移し、個人消費は緩やかな回復傾向が続くであろう。消費税率引き上げにともなう一時的な消費の悪化が見込まれるものの、大規模な経済対策でそうした落ち込みが一部緩和されると予想される。また、人件費や物流費の上昇などによる企業のコスト負担増加は、今後も続くとみられる。輸出は、米中貿易摩擦の激化などによる中国や欧州の景気低迷を受け、減速すると見込まれる。日米通商交渉の行方や、英による合意なきEU離脱の可能性など、海外を中心としたリスクの高まりが国内景気にさらなる悪影響を及ぼす可能性があり、注視していく必要がある。
今後の国内景気は、消費税率の引き上げやコスト負担の増加に加え、海外を中心としたリスクの高まりによって、下押しされる可能性があり、不透明感が一層強まっている。
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