2019年3月の景気動向調査
機械関連を中心に製造業の悪化が続く
■調査結果のポイント
- 2019年3月の景気DIは前月比0.3ポイント減の46.9となり、4カ月連続で悪化した。国内景気は、製造業の悪化やコスト負担増などがマイナス材料となり、一部で後退局面に入った可能性がある。今後の国内景気は、大型イベントなどがプラス材料となる一方、輸出低迷や設備投資の鈍化に加えて海外リスクも抱え、不透明感が一層強まっている。
- 10業界中4業界が悪化、5業界が改善、1業界が横ばいとなった。中国景気の減速などを受け12業種すべての景気DIが50を下回るなど、『製造』が大きく悪化した。一方で、年度末需要は各業界でプラス材料となった。
- 『北陸』『近畿』『四国』など10地域中8地域が悪化、『北海道』と『九州』の2地域が改善した。海外経済の減速が地域経済の悪化要因となったほか、暖冬傾向による需要減退や物流費の上昇などもマイナス材料となった。規模別では、「中小企業」は4カ月連続、「小規模企業」が3カ月連続で悪化した。
< 2019年3月の動向 : 後退局面入りの兆し >
2019年3月の景気DIは前月比0.3ポイント減の46.9となり、4カ月連続で悪化した。
3月の国内景気は、中国の景気減速による輸出減少などから、自動車や半導体といった機械関連を中心に製造業の悪化が続いたことが、大きな下押し要因となった。人件費や燃料費などが収益を圧迫したほか、暖冬傾向も悪影響を及ぼした。年度末を迎え各方面で需要が拡大するも、人手不足から受注機会の損失が一部で発生した。他方、消費税率引き上げを見据えた駆け込みや、改元および軽減税率対応への需要増加はプラス要因となった。
国内景気は、製造業の悪化やコスト負担増などがマイナス材料となり、一部で後退局面に入った可能性がある。
< 今後の見通し : 不透明感が一層強まる >
今後は、労働市場の需給ひっ迫を背景に個人消費は緩やかな回復が半年程度続くほか、ラグビーワールドカップや東京五輪などの大型イベント、改元にともなう祝賀ムードなどはプラス材料となるであろう。設備投資は省力化需要が期待されるものの、五輪向け建設投資のピークアウトや輸出低迷などから、鈍化すると見込まれる。2019年10月の消費税率引き上げによる駆け込みとその後の反動減は、前回(2014年4月)と比べて緩やかになると予想される。海外は、中国や欧州経済の低迷、好調が続く米国景気の減速、米中貿易摩擦、日米通商交渉の行方、英国のEU離脱などのリスクを、注意深く見守る必要がある。
今後の国内景気は、大型イベントなどがプラス材料となる一方、輸出低迷や設備投資の鈍化に加えて海外リスクも抱え、不透明感が一層強まっている。
このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。報道目的以外の利用につきましては、著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。