2019年5月の景気動向調査
国内景気、後退局面入りの可能性
■調査結果のポイント
- 2019年5月の景気DIは前月比1.4ポイント減の45.4となり、6カ月連続で悪化した。国内景気は、米中貿易摩擦の激化や大型連休にともなう悪影響の表面化などが重なり、後退局面入りした可能性がある。今後の国内景気は、消費税率引き上げによる消費減退の懸念に加えて、米中貿易摩擦の行方など、不透明感が一層強まっている。
- 1年1カ月ぶりに10業界すべてが悪化した。大型連休で稼働日数が減ったことなどから企業活動は停滞し売り上げが減少したほか、人手不足やコスト負担も悪材料となった。
- 『南関東』『近畿』『中国』など4カ月ぶりに10地域すべてが悪化した。大型連休後の停滞がみられたほか、中国向けの生産・輸出などが低調だった。また、東京23区や大阪市など、大都市圏の落ち込みが全体を下押しする要因となった。規模別では、全規模が2カ月連続でそろって悪化した。
< 2019年5月の動向 : 後退局面入りの可能性 >
2019年5月の景気DIは前月比1.4ポイント減の45.4となり、6カ月連続で悪化した。
5月の国内景気は、半導体関連など中国向け輸出の減少が続くなか、米中貿易摩擦の深刻化で企業マインドが冷え込み、投資の先送りにつながった。大型連休にともなう稼働日数の減少が企業活動の停滞を招いたほか、4月中の前倒し発注を受けて受注が減少。連休後には一部で消費の減退がみられたうえ、人手不足や燃料価格の上昇も負担となった。景気DIは、東日本大震災が発生した2011年3月以来8年2カ月ぶりに、全10業界・全3規模・全10地域がいずれも悪化した。
国内景気は、米中貿易摩擦の激化や大型連休にともなう悪影響の表面化などが重なり、後退局面入りした可能性がある。
< 今後の見通し : 不透明感が一層強まる >
今後は消費税率引き上げ前の駆け込み需要が表れるほか、設備投資は省力化・合理化需要を背景に底堅く推移し、東京五輪や公共投資も景気を下支えすると見込まれる。しかしながら一方で、消費税率引き上げ後には個人消費が一時的に大きく落ち込むほか、中国などアジア向け輸出の減少がマイナスに働くと予想される。また、引き続き人手不足や原材料価格の上昇によるコスト負担増が収益を圧迫するであろう。海外動向は、米中貿易摩擦および中国経済の動向が懸念材料であり、日米通商交渉を含めて注視する必要がある。
今後の国内景気は、消費税率引き上げによる消費減退の懸念に加えて、米中貿易摩擦の行方など、不透明感が一層強まっている。
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