2019年6月の景気動向調査
国内景気、7カ月連続で悪化
■調査結果のポイント
- 2019年6月の景気DIは前月比0.3ポイント減の45.1となり、7カ月連続で悪化した。国内景気は、輸出の停滞や高水準で推移するコスト負担が引き続き下押し圧力となり、後退局面入りの可能性がある。今後の国内景気は、消費税率引き上げによる消費減退とともに、米中貿易摩擦の先行きも懸念され、不透明感が一層強まっている。
- 10業界中、『製造』『卸売』『運輸・倉庫』など5業界が悪化、『小売』など5業界が改善した。輸出の減少が響き機械製造などで悪化が続いたうえ、原材料価格の高止まりも負担となった。他方、『小売』では耐久財関連が揃って改善した。
- 『北関東』『近畿』『四国』など10地域中8地域が悪化、『南関東』が横ばい、『九州』が改善した。仕入単価の上昇が全地域で和らいだが、一部地域では低調な設備稼働率や生産・出荷動向が悪材料となった。また、『近畿』ではG20サミットの開催による影響も表れた。
< 2019年6月の動向 : 後退局面入りの可能性 >
2019年6月の景気DIは前月比0.3ポイント減の45.1となり、7カ月連続で悪化した。
6月の国内景気は、米中貿易摩擦を背景とした中国景気の減速などが輸出の停滞を招き、製造業の悪化基調が継続した。人件費や原材料費、輸送費の負担が高水準で推移したうえ、大阪での20カ国・地域首脳会合(G20サミット)などが響き、域内地域を中心に物流や工事関連が低迷した。一方で、消費税率引き上げを見据えた駆け込み需要が一部でみられたほか、燃料価格の低下やインバウンドもプラス材料となった。なお、景気DIが7カ月連続で悪化したのは、2009年2月(12カ月連続)以来10年4カ月ぶり。
国内景気は、輸出の停滞や高水準で推移するコスト負担が引き続き下押し圧力となり、後退局面入りの可能性がある。
< 今後の見通し : 不透明感が一層強まる >
今後は、消費税率の引き上げに向けて緩やかながら需要の増大が予想される。東京五輪などの大型イベントや公共投資がプラスに働くほか、省力化需要を背景として、非製造業を中心に設備投資は堅調に推移するであろう。一方で、消費税率引き上げ後は消費の落ち込みが懸念される。また中国や欧州経済の減速を受けて、輸出は減少基調で推移すると見込まれる。米中貿易摩擦が国内景気に及ぼす影響や、米国景気およびFRB(米連邦準備制度理事会)の動向などを含む世界情勢を注視していく必要がある。
今後の国内景気は、消費税率引き上げによる消費減退とともに、米中貿易摩擦の先行きも懸念され、不透明感が一層強まっている。
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