2019年7月の景気動向調査
国内景気、8カ月連続で悪化
■調査結果のポイント
- 2019年7月の景気DIは前月比0.5ポイント減の44.6となり、8カ月連続で悪化した。国内景気は、製造業の悪化基調や設備投資意欲の低下が続くなか、天候不順も響き、後退局面入りの可能性が高まってきた。今後の国内景気は、消費税率引き上げにともなう消費減退に加え、日米通商交渉やFRBの利下げが及ぼす影響も懸念され、不透明感が一層強まっている。
- 10業界中、『製造』『卸売』『小売』『農・林・水産』など6業界が悪化、3業界が改善、1業界が横ばいとなった。一部地域での記録的な日照不足や低気温が響いたほか、輸出減速や設備投資意欲の低下もマイナス材料となった。
- 『南関東』『東海』『中国』など10地域中7地域が悪化、『北海道』『九州』の2地域が改善、『北関東』が横ばいとなった。米中貿易摩擦や景気の先行き懸念の高まり、低調な民間住宅建設など、設備投資意欲が9地域で低下。また一部地域では天候不順の影響も受けた。
< 2019年7月の動向 : 後退局面入りの可能性 >
2019年7月の景気DIは前月比0.5ポイント減の44.6となり、8カ月連続で悪化した。
7月の国内景気は、海外経済の低迷にともなう輸出減速などを受けた製造業の悪化基調が、関連業種にマイナスの影響を及ぼしたほか、先行きの不透明感を背景に設備投資意欲DIが2016年10月以来2年9カ月ぶりの水準まで低下したことも悪材料となった。また、月前半を中心に一部地域で起きた記録的な日照不足や平年より低い気温が続くといった天候不順が、消費や食品に関連する業種の景況感を押し下げた。人件費などのコスト負担が引き続き重荷となったうえ、周辺国との関係悪化が一部企業のマインドを下押しした。
国内景気は、製造業の悪化基調や設備投資意欲の低下が続くなか、天候不順も響き、後退局面入りの可能性が高まってきた。
< 今後の見通し : 不透明感が一層強まる >
今後は、省力化需要に加え東京五輪の開催や公共投資も寄与し、設備投資は底堅く推移するであろう。個人消費は、良好な雇用環境が引き続きプラス材料ながら、消費税率の引き上げにともない一時的に落ち込むと予想される。また中国を含め世界経済の低迷を背景とした輸出の減速基調は、製造業などの景況感を下押しする可能性がある。海外は、中国経済や日米通商交渉、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げなどが及ぼす影響が懸念されるほか、英EU離脱および日韓関係も注視していく必要がある。
今後の国内景気は、消費税率引き上げにともなう消費減退に加え、日米通商交渉やFRBの利下げが及ぼす影響も懸念され、不透明感が一層強まっている。
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