2019年8月の景気動向調査
低調な輸出と設備投資で製造業の悪化が継続
■調査結果のポイント
- 2019年8月の景気DIは前月比0.1ポイント増の44.7となり、9カ月ぶりに改善した。国内景気は、輸出減速や設備投資意欲の低下が続き後退局面入りの可能性が高まっているなか、公共工事の増加などが押し上げ要因となった。今後の国内景気は、消費税率引き上げ後の消費減退やコスト負担増に海外リスクも加わり、不透明感が一層強まっている。
- 10業界中、『建設』『小売』など4業界が改善、『製造』『サービス』など6業界が悪化した。公共工事の発注が活発化し『建設』などにプラス材料となったものの、輸出減速や設備投資意欲の低下が響き『製造』は悪化傾向が続いた。
- 『北海道』『北陸』など10地域中6地域が改善、『九州』など3地域が悪化、『東北』が横ばいとなった。公共工事の前倒し執行などが地場建設業の景況感を押し上げたほか、荷動きの活発化なども好材料となった。一方『九州』では大雨の影響が表れた。
< 2019年8月の動向 : 後退局面入りの可能性 >
2019年8月の景気DIは前月比0.1ポイント増の44.7となり、9カ月ぶりに改善した。
8月の国内景気は、防災関連を中心とした堅調な公共工事の執行がプラス材料となった。加えて8月に入って気温が上昇したことで、7月に停滞していた季節商品の需要が活発化したほか、消費税率引き上げを前にした駆け込み需要が、システム投資や住宅建築など一部でみられた。他方、中国などアジア向け輸出の減少傾向や、先行き不透明感にともなう設備投資意欲の低下は製造業の景気を下押しした。さらに、お盆時期の台風上陸や月下旬の大雨、日韓関係の悪化による訪日客数の減少、金融市場の変動なども悪材料となった。
国内景気は、輸出減速や設備投資意欲の低下が続き後退局面入りの可能性が高まっているなか、公共工事の増加などが押し上げ要因となった。
< 今後の見通し : 不透明感が一層強まる >
今後は、緩やかな駆け込み需要が一部で発生するものの、消費税率引き上げ後は消費が一時的に大きく落ち込むと予想される。加えて、最低賃金引き上げや人手不足の長期化によって人件費を含めたコスト負担が増大するであろう。また、世界的な景気低迷や為替レートの変動を背景に輸出の減速が続くと見込まれ、米中貿易摩擦や各国中央銀行による世界的な利下げの動向、日韓関係が及ぼす影響などを注視する必要がある。他方、省力化需要や都市再開発の活発化などはプラス材料になるとみられる。
今後の国内景気は、消費税率引き上げ後の消費減退やコスト負担増に海外リスクも加わり、不透明感が一層強まっている。
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