2020年5月の景気動向調査
国内景気は生産活動の減退が継続
■調査結果のポイント
- 2020年5月の景気DIは前月比0.6ポイント減の25.2となり8カ月連続で悪化した。国内景気は、急激な収縮には歯止めがかかったものの、生産活動の減退が続いた。今後は、国内外の懸念材料がみられるなか、後退傾向が一時的に下げ止まるとみられる。
- 10業界中、『製造』『卸売』など5業界が悪化、『不動産』『サービス』など5業界が改善した。『製造』は調査開始以降で初となる、13カ月連続の悪化となった。51業種別では「広告関連」など、7業種が過去最低を記録した。
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4月7日に始まった緊急事態宣言が一部地域では5月25日まで続いた。こうしたなか、10地域中9地域31都道県が悪化、『北陸』が改善した。外出自粛や休業要請などによりヒトやモノの移動が大幅に縮小したことが地域経済に響いた。「大企業」「中小企業」「小規模企業」は8カ月連続でそろって悪化した。
< 2020年5月の動向 : 後退局面 >
2020年5月の景気DIは前月比0.6ポイント減の25.2となり8カ月連続で悪化した。
5月の国内景気は、政府が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止に向けて発した緊急事態宣言が25日まで継続され、大幅に制約された経済活動が続いた。生産調整や一時帰休などが実施され、生産・出荷量DIが過去最低の水準まで落ち込んだほか、企業の人手不足感は急激に減退した。他方、緊急事態宣言の解除を前にした5月中旬頃から企業の景況感は徐々に上向き始めた。外出自粛による自宅内消費の高まりやテレワーク、ビデオ通話の拡大のほか、衛生商品やハンドメイド商品などは好材料だった。
国内景気は、急激な収縮には歯止めがかかったものの、生産活動の減退が続いた。
< 今後の見通し : 一時的に下げ止まり >
今後の国内景気は、緊急事態宣言が解除されたことで、経済活動が徐々に始動していくとみられる。生産調整や一時帰休などによる落ち込みからの挽回生産が期待されるほか、外出自粛や休業にともない創出された新規需要に向けた商品・サービスも好材料となろう。さらに緊急経済対策や金融緩和政策の強化に加え、訪日観光消費の再開なども下支え要因となる。他方、新型コロナウイルスの第2波・第3波の可能性は非常に大きなリスクといえる。企業の売り上げが激減したなか、企業業績の悪化にともなう雇用・所得環境の悪化が懸念材料である。また世界経済は大幅な落ち込みが予測され、景気回復には時間がかかるとみられる。国内景気は新型コロナなど外部環境の変化に左右される状態が続く。
今後は、国内外の懸念材料がみられるなか、後退傾向が一時的に下げ止まるとみられる。