2020年8月の景気動向調査
国内景気は不透明感漂うなかでわずかな回復傾向
■調査結果のポイント
- 2020年8月の景気DIは3カ月連続で前月比プラス(0.6ポイント)の29.7となった。国内景気は、緩やかに持ち直しがみられたが、わずかな回復にとどまった。今後の景気は、個人消費の持ち直しが期待されるが、横ばい傾向で推移するとみられる。
- 10業界中、『製造』や『運輸・倉庫』など7業界で前月からプラスとなったものの、全業界で40を下回る低水準での推移が継続した。また、『小売』や『農・林・水産』など3業界は悪化した。
- 『北海道』『南関東』など10地域中9地域がプラス、『九州』が悪化した。公共工事の発注や自宅内消費はプラス材料となった。他方、独自の緊急事態宣言による生産活動の抑制や、長雨と猛暑で農作物の生育などに悪影響がみられた。景況感が同一規模内で二極化する傾向も表れた。
< 2020年8月の動向 : 下げ止まり >
2020年8月の景気DIは3カ月連続で前月比プラス(0.6ポイント)の29.7となった。
8月の国内景気は、再開した経済活動の持ち直しがプラス要因となった一方、地域独自の緊急事態宣言などが景況感を下押しした。自宅内消費の拡大や新たな住宅ニーズの高まりなどのほか、国内での自動車部品の生産持ち直しや猛暑対策商品の製造・販売、米国・中国向け輸出増加などはプラス材料だった。他方、新型コロナウイルスの影響に加えて、野菜などの生育不足にともなう価格高騰は農林水産や飲食料品関連に対してマイナス材料となった。また、宿泊業を含め設備稼働率は引き続き低位な水準で推移した。
国内景気は、緩やかに持ち直しの動きがみられたが、わずかな回復にとどまった。
< 今後の見通し : 横ばい >
今後1年程度の国内景気は、新しい生活様式への対応による新規需要の創出が見込まれる。さらに観光振興などの各種消費支援策もあり、個人消費の持ち直しが期待される。また挽回生産や工場の国内回帰など自国生産の拡大は設備投資を促すほか、抑制されていた需要の顕在化などもプラス要因になるとみられる。他方、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染状況は最大のリスクとなろう。また企業業績の悪化にともなう雇用・所得環境の悪化が懸念されるほか、新政権による政策や米国大統領選の行方も注視される。
今後の景気は、個人消費の持ち直しが期待されるが、横ばい傾向で推移するとみられる。
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