2020年12月の景気動向調査
国内景気は7カ月ぶりに悪化
■調査結果のポイント
- 2020年12月の景気DIは前月比0.4ポイント減の35.0となり、7カ月ぶりに悪化した。国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大などで持ち直し傾向がストップした。今後の景気は、一時的に後退すると見込まれるものの、新型コロナウイルスの感染状況次第ながら春頃に底打ちしたのち、緩やかな上向き傾向で推移するとみられる。
- 10業界中、『サービス』、『運輸・倉庫』、『小売』など8業界がマイナス、『製造』など2業界がプラスとなった。全国的な観光施策の停止などで人の移動が抑制され、『サービス』や『小売』を中心に景況感が悪化した。
- 『北海道』『南関東』『中国』など10地域中8地域が悪化、『北陸』『四国』の2地域がプラスとなった。新型コロナウイルスの感染が大きく拡大した地域で景況感の悪化が表れた。特に地方における観光や消費関連の落ち込みがみられた。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」がいずれも7カ月ぶりに悪化した。
< 2020年12月の動向 : 持ち直し傾向がストップ >
2020年12月の景気DIは前月比0.4ポイント減の35.0となり、7カ月ぶりに悪化した。
12月の国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大にともない、観光支援の各種施策が全国的に一時停止されたことなどが悪材料となり、持ち直し傾向がストップした。さらに冬季賞与の減額や新型コロナウイルスに関連した失業者の増加など所得環境が悪化したほか、一部地域での休業・営業時間短縮などで、小売や個人向けサービスなど個人消費の落ち込みがみられた。他方、自動車関連の生産が堅調に推移したほか、工作機械や産業機械を含む機械製造、半導体製造装置などは上向いた。
国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大などで持ち直し傾向がストップした。
< 今後の見通し : 一時的に後退 >
今後1年程度の国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大にともなう社会経済活動の抑制策の実施などにより、一時的に後退すると見込まれる。また、感染状況の違いにより地域間や業種間で景気の動きが二分される可能性もある。さらに、雇用・所得環境の悪化による可処分所得の減少などは、個人消費を下押しする材料である。他方、ワクチン接種の広がりや5Gの本格的普及、東京五輪などはプラス要因となろう。また、自宅内消費など新しい生活様式に対応した需要の取り込みや海外経済の回復なども期待される。
今後の景気は、一時的に後退すると見込まれるものの、新型コロナウイルスの感染状況次第ながら春頃に底打ちしたのち、緩やかな上向き傾向で推移するとみられる。
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