2021年2月の景気動向調査
国内景気は3カ月ぶりのプラス
■調査結果のポイント
- 2021年2月の景気DIは3カ月ぶりに前月比プラス(1.9ポイント)の35.8となった。国内景気は、業種間で温度差が表れるも、生産拡大などで3カ月ぶりにプラスに転じた。今後の景気は、感染状況にともなう下振れリスクを抱えながらも、春以降、緩やかに上向いていくと見込まれる。
- 全10業界で前月からプラス。半導体関連や電子部品など『製造』を中心に持ち直しの動きとなった。一方、「旅館・ホテル」や「飲食店」といった個人向けサービスでは低水準での推移が続き、業界・業種によって景況感に温度差がみられる。
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『北関東』『東海』『近畿』など全10地域が4カ月ぶりにそろって上向いた。一部地域で緊急事態宣言が発出されていたものの、感染者数の減少傾向や自宅内消費の拡大、域内の主要産業の持ち直しなどがプラス要因となった。都道府県別では42都道府県が上向いた。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」がいずれも3カ月ぶりにプラスとなった。
< 2021年2月の動向 : 悪化傾向に歯止め >
2021年2月の景気DIは3カ月ぶりに前月比プラス(1.9ポイント)の35.8となった。
2月の国内景気は、緊急事態宣言が10都府県で延長されたなか、日経平均株価が30年半ぶりに3万円台へ上昇したほか、輸出用の機械関連や半導体、電子部品などの生産拡大もあり、押し上げられた。また、年度末需要に向けた動きが徐々に表れてきたこともプラス要因となった。さらに自宅内消費関連は上向き傾向が続いた。他方、外出自粛や営業時間の短縮など新型コロナウイルスの影響による経済活動の抑制がマイナス要因となった。個人消費関連は低水準で推移するなど、業種により景況感に温度差が表れている。
国内景気は、業種間で温度差が表れるも、生産拡大などで3カ月ぶりにプラスに転じた。
< 今後の見通し : 春以降に緩やかな上向き >
今後1年程度の国内景気は、新型コロナウイルスの感染状況次第ながら、ワクチン接種の開始による経済活動の正常化に向けた動きなどにより、緩やかな上向き傾向が続くとみられる。また、テレワークの拡大による住宅ニーズの高まりや自宅内消費など新しい生活様式に対応した需要の拡大はプラス要因になると見込まれる。レジャー関連や訪日外国人旅行者数の増加、東京五輪の開催などが期待される。他方、感染状況により消費マインドの後退や雇用・所得環境の悪化、活動自粛の再要請など下振れリスクも依然として大きい。
今後の景気は、感染状況にともなう下振れリスクを抱えながらも、春以降、緩やかに上向いていくと見込まれる。