2021年4月の景気動向調査
製造業を中心に3カ月連続で改善
■調査結果のポイント
- 2021年4月の景気DIは前月比0.3ポイント増の38.3となり、3カ月連続で改善した。国内景気は、経済活動が抑制されたなかで、製造業を中心に3カ月連続で改善した。今後の景気は、一時的な落ち込みもみられるが、緩やかに上向いて推移するとみられる。
- 10業界中、『製造』など5業界が改善、『サービス』など5業界が悪化。『製造』は半導体関連や電子部品などの輸出が堅調で改善傾向が続いた。他方、『サービス』はまん延防止等重点措置や緊急事態宣言を受けて、「飲食店」などの個人向けサービスが再び落ち込んだ。
- 『北関東』『東北』など10地域中8地域が改善、『近畿』など2地域が悪化した。製造業が改善したが、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言による経済活動の抑制が各地域の景況感に悪影響を及ぼした。規模別では、「大企業」「中小企業」が3カ月連続で改善した一方、「小規模企業」は3カ月ぶりに悪化となった。
< 2021年4月の動向 : 上向き >
2021年4月の景気DIは前月比0.3ポイント増の38.3となり、3カ月連続で改善した。
4月の国内景気は、まん延防止等重点措置の適用地域拡大や3回目の緊急事態宣言の発出など、経済活動が抑制されたなかでの推移となった。プラス要因では、米国や中国など海外経済の回復傾向により輸出が大きく増加したほか、世界的な半導体不足にともない半導体素子製造を含む関連業界が高水準で推移した。さらに自宅内消費は引き続き拡大傾向が続いた。マイナス要因では、新型コロナウイルスの感染拡大にともない一部地域や業種で休業や営業時間の短縮など人流抑制が行われ、飲食店や旅館・ホテルなど個人向けサービスが大きく落ち込んだ。また自動車の減産や工場の稼働停止なども悪材料となった。
国内景気は、経済活動が抑制されたなかで、製造業を中心に3カ月連続で改善した。
< 今後の見通し : 緩やかな上向き傾向 >
今後の国内景気は、まん延防止等重点措置の適用や緊急事態宣言の発出にともなう下振れリスクを抱えるなか、ワクチン接種の拡大による経済活動の正常化や海外経済の回復などもあり、緩やかに上向いていくと見込まれる。自宅内消費の拡大など新規需要の創出や5Gの本格的普及などはプラス材料となろう。他方、新型コロナウイルスの感染動向による下振れリスクも依然として大きい。さらに、半導体不足による自動車の減産や夏季賞与の減少、原材料価格の上昇、企業業績の業種間格差の拡大などは注視する必要がある。
今後の景気は、一時的な落ち込みもみられるが、緩やかに上向いて推移するとみられる。
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