2021年6月の景気動向調査
国内景気は2カ月ぶりに改善
■調査結果のポイント
- 2021年6月の景気DIは前月比1.6ポイント増の39.1となり、2カ月ぶりに改善した。国内景気は、海外経済の回復に加え個人消費関連も上向き、2カ月ぶりに改善した。今後は、感染者数の動向が懸念材料であるものの、緩やかに上向いていくとみられる。
- 全10業界が改善。9都道府県で緊急事態宣言が解除されたなか、ワクチン接種の普及も進み、『サービス』『小売』などの個人消費関連の景況感が上向いた。また、米中向けに自動車や半導体関連などの輸出が増加傾向にあるなか、『製造』『卸売』も改善した。
- 『北関東』『北陸』『近畿』など3カ月ぶりに10地域すべてが改善した。緊急事態宣言が「沖縄」を除く9都道府県で解除され、44都道府県が改善した。特に、主要産業としてIT関連や輸出向けの機械製造などを持つ地域の改善が目立った。「大企業」「中小企業」「小規模企業」が3カ月ぶりにそろって改善した。
< 2021年6月の動向 : 再び上向く >
2021年6月の景気DIは前月比1.6ポイント増の39.1となり、2カ月ぶりに改善した。
6月の国内景気は、海外経済が回復傾向を示すなか、9都道府県での緊急事態宣言の解除やワクチン接種の普及などで人流が増加傾向で推移するなど、経済活動は徐々に正常化に向け動き出した。輸出の急増とともに製造業の景況感が上向いたほか、人出が徐々に戻りつつあるなかで小売業や個人向けサービス業など個人消費関連の改善も表れた。企業のデジタル化やSDGsに関連した需要増加など、新しい社会に対するニーズの創出もみられた。他方、燃料価格の上昇にともなうコスト負担の高まりや、木材や鉄鋼などの材料不足などはマイナス要因となった。また、企業の景況感における「K字型」経済の傾向は続いた。
国内景気は、海外経済の回復に加え個人消費関連も上向き、2カ月ぶりに改善した。
< 今後の見通し : 緩やかな上向き傾向 >
今後の国内景気は、ワクチン接種の普及とともに感染拡大による経済活動への制約も徐々に和らいでいくとみられる。また、中国や米国など海外経済の回復や5Gの本格的普及、自宅内消費の拡大傾向などはプラス材料になる。さらに、テレワークなど業務のリモート化による通信インフラの整備やAIなどの普及にともなう働き方改革に対する需要の本格化が期待される。他方、原材料価格の上昇のほか、半導体不足やコンテナ不足による供給リスクの長期化は懸念材料である。さらに、業種や地域に対する二極化の動向や東京五輪の行方などは注視する必要があろう。
今後は、感染者数の動向が懸念材料であるものの、緩やかに上向いていくとみられる。
このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。報道目的以外の利用につきましては、著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。