2021年7月の景気動向調査
製造業がけん引し、2カ月連続で改善
■調査結果のポイント
- 2021年7月の景気DIは前月比1.6ポイント増の40.7となり、2カ月連続で改善した。国内景気は、新規感染者数の増加が続いたものの製造業がけん引し、回復傾向が続いた。今後は、感染拡大防止と経済活性化を見極めつつ、回復傾向で推移すると見込まれる。
- 10業界中8業界が改善。海外経済の回復で半導体関連や自動車関連などを中心に輸出が増加傾向のなか、『製造』を中心に改善した。他方、仕入単価DIは62.2と14カ月連続で上昇し、木材や金属、燃料などの材料価格上昇が各業界で懸念材料となった。
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『東北』『北関東』『東海』など全10地域が2カ月連続で改善した。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響が地域で分かれた。輸出増加の好影響を受けた業界が地域経済をけん引する形で、10地域中7地域で40台を回復した。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」が2カ月連続でそろって改善した。
< 2021年7月の動向 : 回復傾向 >
2021年7月の景気DIは前月比1.6ポイント増の40.7となり、2カ月連続で改善した。
7月の国内景気は、東京五輪が開幕するなか、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響が地域で分かれる一方、ワクチン接種の普及などで経済活動が正常化に向かいながらの推移となった。海外経済の回復傾向で半導体や自動車関連などを中心に輸出が急増を続け、製造業が経済全体をけん引した。4連休などにより小売業や個人向けサービスの景況感を示す個人消費DIも上向いた。他方で、新規感染者数は増加傾向が続いた。また、木材や金属など材料価格の高騰で仕入価格の上昇が加速しており、厳しい収益環境が継続した。
国内景気は、新規感染者数の増加が続いたものの製造業がけん引し、回復傾向が続いた。
< 今後の見通し : 回復傾向が続く >
今後の国内景気は、ワクチン接種の普及にともない人の流れが徐々に活発化し、経済活動が緩やかに正常化に向かうとみられる。また、5Gの本格的普及や米国や中国など海外経済の回復などはプラス材料となる。さらに、自宅内消費の拡大による新たな需要の創出、テレワークなど通信インフラの整備、気候変動を含めSDGsに対応した投融資なども期待される。他方、新型コロナウイルス変異株の動向のほか、原材料など仕入価格の上昇、半導体不足などによる供給リスクの長期化、家計や企業の成長期待の低下などは懸念材料である。また、東京五輪の影響や業種・地域に対する経済の二極化は注視する必要があろう。
今後は、感染拡大防止と経済活性化のバランスのなか、回復傾向で推移するとみられる。