2021年8月の景気動向調査
感染者数の急増で景気に急ブレーキ
■調査結果のポイント
- 2021年8月の景気DIは前月比1.5ポイント減の39.2となり、3カ月ぶりに悪化した。国内景気は、感染者数急増に記録的大雨の影響も加わり、一時的な足踏み状態となった。今後は、緊急事態宣言等で一時停滞するものの、緩やかな回復が続くと見込まれる。
- 全10業界中、『その他』を除く9業界が悪化。緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の影響や、各地で悪天候が続いたことで、特に個人消費関連の業種が大きく落ち込んだ。また、自動車工場で減産や稼働停止がみられるなか、『製造』も3カ月ぶりに悪化した。
- 全10地域が3カ月ぶりにそろって悪化した。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が33都道府県に拡大・延長されたなか、40都道府県で悪化。人の動きが再び抑制され、個人消費関連の落ち込みが目立った。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」すべてが3カ月ぶりにそろって悪化した。
< 2021年8月の動向 : 一時的に足踏み >
2021年8月の景気DIは前月比1.5ポイント減の39.2となり、3カ月ぶりに悪化した。
8月の国内景気は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置について33都道府県への拡大や延長が実施されたことに加え、豪雨・長雨による影響も下押しした。人流抑制策が強化されるなかで、小売業や個人向けサービス業などの個人消費関連が再び大きく落ち込んだ。さらに金属や木材、半導体などの材料不足や価格高騰は、企業の収益環境を悪化させる要因となった。他方で、ワクチン接種の普及が進むなか、海外経済の回復にともなう輸出の増加や好調な半導体関連、郊外での住宅購入の活発化などはプラス要因となった。
国内景気は、感染者数急増に記録的大雨の影響も加わり、一時的な足踏み状態となった。
< 今後の見通し : 一時停滞ののち緩やかに回復 >
今後の国内景気は、新型コロナウイルス変異株の動向が最大の懸念材料となろう。海外でも感染が再拡大しており、再び輸出が減少に転じることになれば大きな下押し圧力になる可能性もある。また、原材料など仕入価格の上昇や半導体不足に加えて、政局の動向や中東情勢など地政学的リスクも注視する必要がある。特に企業の業績回復に対する二極化傾向の広がりはマイナス要因となりうる。他方で、ワクチン接種の普及とともに経済活動は緩やかに正常化に向かうとみられる。設備投資の増加傾向のほか、5Gの本格的普及や自宅内消費の拡大、海外経済の回復、SDGsに対応した投融資などはプラス材料となろう。
今後は、緊急事態宣言等で一時停滞するものの、緩やかな回復が続くと見込まれる。
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