2021年9月の景気動向調査
国内景気は2カ月ぶりに改善
■調査結果のポイント
- 2021年9月の景気DIは前月比0.7ポイント増の39.9となり、2カ月ぶりに改善した。国内景気は、新規感染者数の減少や株価上昇などが好材料となり、再び上向きに転じた。今後は、感染拡大による下振れリスクを抱えつつも、緩やかに回復していくとみられる。
- 全10業界中、7業界が改善。新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向のなか、『サービス』『建設』『卸売』などが改善した。一方で、半導体不足や材料価格の高騰などの影響が深刻な『製造』は2カ月連続で悪化。特に9月は自動車関連の落ち込みが目立った。
- 全10地域中8地域が改善、2地域が悪化した。新規感染者数が大幅に減少するなか、まん延防止等重点措置が解除された6県がいずれも上向くなど、29都道府県が改善。特に都市部周辺での『不動産』の改善が目立った。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」すべてが2カ月ぶりにそろって改善した。
< 2021年9月の動向 : 上向きに転じる >
2021年9月の景気DIは前月比0.7ポイント増の39.9となり、2カ月ぶりに改善した。
9月の国内景気は、ワクチン接種の普及とともに新規感染者数が減少傾向で推移したほか、日経平均株価が31年ぶりの高値を付けたことも押し上げ要因となった。半導体関連の好調や、郊外での住宅購入や都市部での貸家業も堅調に推移した。輸出増加に加え、精密機械や医療機械などの生産・出荷量DIが上向き設備稼働率も過去最高を記録した。他方で、半導体不足などによる自動車減産の影響が関連業種へと幅広く波及した。さらに金属や木材などの材料不足や価格高騰が企業活動を抑制する要因となった。
国内景気は、新規感染者数の減少や株価上昇などが好材料となり、再び上向きに転じた。
< 今後の見通し : 緩やかに回復 >
今後の国内景気は、10月の緊急事態宣言等の解除やワクチン接種の普及とともに経済活動が徐々に正常化へと向かうとみられる。また、海外経済の回復にともなう輸出や設備投資の増加傾向に加え、5Gや自宅内消費の拡大、自動車の挽回生産、ESG投資を含めSDGsへの対応も押し上げ要因と見込まれる。さらに新政権の大規模な経済対策は国内景気の下支え要因となろう。他方、新型コロナウイルス変異株の動向は引き続き懸念材料で、感染拡大防止と経済活動の活発化のバランスが一段と重要になる。また、半導体不足や仕入価格の上昇、中東情勢など地政学的リスク、米国の量的緩和縮小なども注視する必要がある。
今後は、感染拡大による下振れリスクを抱えつつも、緩やかに回復していくとみられる。
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